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【コラム】消防車に巨大扇風機!?
JR福知山線脱線事故を教訓に誕生した「特別高度工作車」
平成17年4月25日に発生した「JR福知山線脱線事故」の際、可燃性ガスの流出により火花を発するエンジンカッターの使用ができず救助活動が難航した。この活動を教訓に誕生したのが「ウォーターカッター車」と「大型ブロアー車」となる。いったどんな消防車なのだろうか?
写真◎編集部
特別高度工作車は、平成17年4月25日に発生した「JR福知山線脱線事故」の際、列車が衝突したマンションの立体駐車場内の車両からガソリンが流出し、可燃性ガスが充満した。救助活動で使用するエンジンカッター等の火花が発生する資機材が使用できず、消防による救助活動が難航した。こうした教訓から、総務省消防庁は全国5つの主要都市の消防本部に無償使用車両として大型ブロアー車とウォーターカッター車を配備した。当初は2台一組であったが、その後一体化された特別高度工作車が製作された。
特別高度工作車に搭載されている大型ブロアーは、ファンを高回転させることで1分間に約3500㎥の送気噴霧放水が可能で、PPV(Positive Pressure Ventilation)と呼ばれる陽圧換気による排煙のほか、単純換気や冷却消火を行うことができる。また、耐火構造建物、トンネル、大規模工場等の火災において濃煙排除、有毒ガスの拡散に活用するほか、噴霧放水によりフラッシュオーバーの発生危険を低減することができる。
主な資機材は,可燃性ガスが充満している環境下において研磨剤と高圧水により火花を発生させることなく鋼材、コンクリート、木材等を切断することができるウォーターカッターと、1分間に約400~550㎥送気する可搬式ブロアーを積載している。