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【コラム】消防の熱中症対策――令和5年夏の実例

令和5年の6~8月の日本の平均気温は、平年と比べて1.76℃高くなり、気象庁が統計を取り始めてからの125年間で最も高くなった。
熱中症になってしまうことはもはや珍しくなく、消防も活動する上で熱中症に注意を払わなければならない。
そこで、Jレスキュー編集部が取材先で見た、消防における今年の夏の熱中症対策を紹介しよう!

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ケース1:大阪市消防局の場合

大阪市消防局は7月下旬から8月上旬にかけて、救助隊を対象とした基本技術訓練を実施した。真夏の日中に行われる訓練であるため、熱中症への対策として、各想定の合間には水を張ったパネル水槽に隊員が入ってクールダウンを行っていた。

パネル水槽は、実際の災害現場でも用いられている。折り畳み式で容量が2500Lあり、一度に9人程度が入れる大きさとなっている。テントの中に展開し、5分程度浸かることで深部体温を下げる効果がある。

大阪市消防局のパネル水槽
訓練の想定ごとの合間にパネル水槽に入り、熱中症を予防する大阪市消防局の職員。現場では救助服、活動服のまま水槽に入っているそうだが、取材時は次の想定訓練が控えていたため、Tシャツ姿で入水。(写真/井上健志)

ケース2:田辺市消防本部の場合

田辺市消防本部では、田辺市農林水産部の梅振興室の協力で、災害出動時や活動中に包装された干し梅を携行し、補給することにより熱中症対策を講じている。

干し梅にはミネラルや疲労回復効果のあるクエン酸が多く含まれ、適度な塩分もあることから、熱中症予防に有効であるといわれている。

今年、京都市で開催された「東近畿支部消防救助技術大会」で携行している干し梅を広報しており、その際に各地の消防救助隊員からは「思ったより酸っぱくなく食べやすい」、「個包装されていて衛生的だ」といった感想が寄せられたという。

田辺市消防本部の携行用干し梅
本誌取材の合間に携行した干し梅を補給する田辺市消防本部の職員。(写真/編集部)
田辺市消防本部の携行用干し梅
一般的な梅干しのイメージである「酸っぱい」という味ではなく、甘味と酸味が程よいバランスとなっているため食べやすい。(写真/編集部)
令和5年の6~8月の日本の平均気温は、平年と比べて1.76℃高くなり、気象庁が統計を取り始めてからの125年間で最も高くなった。 熱中症になってしまうことはもはや珍しくなく、消防も活動する上で熱中症に注意を払わなければならない。 そこで、Jレスキュー編集部が取材先で見た、消防における今年の夏の熱中症対策を紹介しよう!

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