軽救急自動車 藤沢市消防局

日本の消防車両

軽救急自動車 藤沢市消防局

藤沢市消防局 南消防署鵠沼出張所(神奈川県)

写真◎藤沢市消防局
日本の消防車2018年掲載記事

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救急車の要件緩和で誕生 『江の島救急車』

救急自動車には、国の規定で「隊員3人以上及び傷病者2人以上を収容、長さ1.9m、幅0.5m以上のベッド1台及び担架2台以上を収納し、かつ隊員が業務を行うことのできる容積を有するもの」等と要件が定められているが、平成21年に姫路市が要件緩和の特区提案を行った後、国は「救急業務実施基準」を一部改正。通行に十分でない幅の道路を通行して救急業務を行う場合は軽救急自動車の運用が可能になった。これを受け、藤沢市消防局でも軽の救急車を製作することにした。

江の島は休日には多数の観光客が訪れる有名な観光地の一つ。住民や観光客の救急事案が年間100件前後(取材当時)あり、この数年は、その件数も増加の傾向にあった。しかし、島内は通常の高規格救急車では通行できない急斜面の狭隘路が多く、迅速な救急対応は行えないという課題を抱えていた。これに対して、管轄する藤沢市消防局南消防署鵠沼出張所は小型の連絡車1台を配備していたが、立ち入り検査などにも使用するため、災害時に使用できないことが度々あった。さらに連絡車にはベッドがないため、傷病者を座席に座らせた状態で搬送しており、容態の悪化が懸念されていた。島専用の小型救急車の導入は、鵠沼出張所の悲願だったのだ。

「江の島救急車」と名づけられた軽救急車はダイハツハイゼットカーゴ クルーズターボ ハイルーフ仕様を使用。全長3395mm、全幅1475mmで、高規格救急車ハイメディックよりも車長マイナス2.255m、車幅がマイナス42cmのダウンサイジングとなる。江の島には参道や山道のような急傾斜もあるが、この江の島救急車ならば走行可能になり、傷病者接触と医療機関収容までの時間短縮と救命率の向上、容態悪化の防止が期待される。

軽救急自動車 藤沢市消防局
藤沢市消防局が江の島での救急出動対応用に配備した小型軽救急車「江の島救急車」。ベースはダイハツハイゼットカーゴ。
軽救急自動車 藤沢市消防局
ストレッチャーは1800mm×577mmで耐荷重159kg。このほか観察用資器材、呼吸・循環管理用資器材(含除細動器)、創傷等保護用資器材、保温・搬送用資器材(バックボード等)、感染防止・消毒用資器材、通信用資機材などを積載。
軽救急自動車 藤沢市消防局
観光客も多い参道も通行可能に。
軽救急自動車 藤沢市消防局
島内には山道のような急傾斜な狭隘路もある。
軽救急自動車 藤沢市消防局
屋根上に担架を積載し、階段などでも搬送できるようにしている。
軽救急自動車 藤沢市消防局
【SPECIFICATIONS】

車名:ダイハツ
通称名:ハイゼットカーゴ クルーズターボ
シャーシ型式:EBD-S331V
全長:3395mm
全幅:1475mm
全高:1270mm
室内高:1210mm
室内幅:1270mm
ホイルベース:2450mm
最小回転半径:4.2m
原動機:4サイクルガソリンエンジン
総排気量:658cc
駆動方式:4×4
乗車定員:4名
配備年月日:平成29年4月6日
艤装メーカー:米山商事

藤沢市消防局 南消防署鵠沼出張所(神奈川県)
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