
水槽付消防ポンプ自動車I-B型
福岡市消防局
使用頻度に配慮したレイアウト
前述のような大胆な工夫だけでなく、目立たないが現場隊員への気遣いにあふれた細かな工夫もたくさんある。たとえばホースカーには水平に留められるスタンドを設置し、その上にC-1級可搬ポンプ専用のアタッチメントを取り付けられるようにした。これにより可搬ポンプを遠距離搬送する際の隊員の負担が大幅に軽減された。ホースカーと可搬ポンプはまとめてリア収納庫に積載し、セットで取り出しやすくしている。また、ホースカーの左側には消火器やスタンドパイプ等を収納する専用ラック、その奥にB火災用の原液や予備ボンベ、とび口2本などを収納。リア収納庫は間口が狭いので、使用頻度を考慮したレイアウトとしている。
細かい所でははしご昇降装置にカバーを設置し、縞板ボックスと高さをそろえた。同車が水難救助事案に出動する際ははしご昇降装置と縞板ボックスを台座にしてゴムボートを搭載するため、高さをそろえることで運転時のゴムボートの安定性を高めているのだ。実に気遣いに満ちた工夫である。
左側面








新たな試みにも挑戦
そして同局の新たな試みとして、同車はCAFS装置のコンプレッサーをエアツール等にも活用できる仕様とした。コンプレッサーを発泡だけに使うのはもったいないので、タイヤや空気ボンベの空気充填に使いたい。さらにエアツールにも使えれば最高だと考えたのだ。メーカーに相談したところ可能との回答がもらえたため、エア取出口をポンプ部に配置。エアツールを使うためにエアドライヤーやエアクーラーを介した構造となっている。
シンプルな外観からは想像できないほど多くの工夫が盛り込まれた同車。機能性と汎用性を兼ね備えた次世代の福岡市消防局モデルが、ここに完成した。