30m級はしご消防自動車(30m)秦野市消防本部

日本の消防車両

30m級はしご消防自動車(30m)秦野市消防本部

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両側面
バスケットを含めて4連梯体がシャーシ全長内に収まる。タイヤが後席の下にあるぶんステップの展開位置が低く、隊員の乗降がしやすいのもMHシャーシを選んだ決め手となった。
梯体はモリタ製30m級4連構成トラス組み立てのMLL4-30S型。第3軸が操舵する4WS構造。
発動発電機などを収めた前方の後ろ側資機材収納庫中段は引き出し式。
下部後輪タイヤハウスのフック横には、音声ガイダンス「L-VAS」スピーカーを設置。写真にはないが、基部操作台にも設置されている。
はしご基底部に発動発電機と消火器を積載。側面にリフター乗降タラップがある。
梯体収納下のデッドスペースは資機材収納に活用し、タイタンが収納されている。左右に足元作業灯を設置。
前輪後部(写真左)にはラジエターがあり、左収納庫の中には尿素タンクがある。
アウトリガジャッキはリアのモニターで操作する。
バスケット
背面が10cmふくらみ、ボンベを背負っても楽に立てる。前扉は架梯建物とのすき間をふさぐ。
背面扉はバー跳ね上げ式で、開口部も大きくなった。
前面には電動放水銃(大容量仕様)、そこから分岐する接続金具がある。上部に俯仰角可能な照明、基部操作台と指揮隊のタフブックに画像伝送できるカメラを装備。
バスケット底部には荷役用の吊下支点金具。最大許容荷重は約270kg。通常時は折りたたんでロックをかける。
バスケット内操作盤では基部操作台と同じ操作が可能。
救助用担架用、スローダン用支柱が設定でき、歩行不能者や意識のない要救助者、多数の要救助者の安全、確実な救出に繋がる。
梯体
最大地上高は30.5m。伸縮水路管は、車体後面の送水口からバスケット先端の電動放水銃または屋内進入口接続金具まで繋がる。
梯体の基部操作台。左足でデッドマンペダルを踏み、左手のレバーで梯体の起伏、左右旋回の動作、右手のレバーで伸縮の動作を行う。正面左のデジタルメーターは伸縮水路管の流量計。
基部操作台の液晶モニターでは、バスケットの「スーパーインポーズカメラ」の映像を見ることもできる。
基部側の梯体照明灯(右)。照明は明るさに定評のあるウィレン製。
リフター
大型化したリフター。許容積載荷重は約180kgから約300kgと定員2名から3名に、床面積は2倍以上広くなっている。
新型リフターでは隊員3名が空気呼吸器を着装していても容易に搭乗ができ、背面枠が高くなったので、安心感も向上した。
リフター内の昇降操作盤。
新梯体ではリフター乗降の安全性アップ!!

これまでのリフター乗降タラップは、梯体の起伏が大きいとタラップとリフターの間に距離があった。今回新搭載された可変式タラップは、踏板の位置を変化させているのがわかる。

お話をうかがった方
秦野市消防本部 
消防司令長 飯田優消防署長(右)
更新計画を担当した警防対策課警防対策担当消防士長 七海廣人(左)
「車両はただ新しいだけでなく、管内事情にあうものでなければならない。最新車両に『使われる』のではなく有効活用できるよう十分な訓練を積み、建物調査、着梯調査などもしっかり行い、市民の生命・身体・財産を守りたい」(飯田署長)
30m級はしご車を運用する秦野市消防署警備第一課特別救助隊。消防司令 中村賢一隊長を中心に、左から森裕之消防士、栗原直之消防副士長、住吉佑介消防副士長、菱山佳消防士。
「梯体の動きは飛躍的に向上し、新たな装備も充実、隊員が行う活動に関しても迅速性や活動の円滑さなど、大きく前進した。照明はすべてLEDとなり、夜間の視認性も向上した」(中村特別救助隊長)
【SPECIFICATIONS】

車名:日野
通称名:MH
シャーシ型式:2DG-PR1APJGF
全長:10650mm
全幅:2490mm
全高:3550mm
ホイルベース:5510mm
最小回転半径:7.2m
車両総重量:19650kg
乗車定員:6名
原動機型式:A09C
総排気量:8866cc
駆動方式:6×4
はしご最大
地上高:30m(4連)
梯体装備:リフター、バスケット、
先端屈折機構、伸縮水路管
配備年月日:平成29年11月9日
艤装メーカー:モリタ

秦野市消防本部 秦野市消防署[神奈川県]
写真・文◎伊藤久巳 Jレスキュー2018年5月号掲載記事

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