消防ロボットシステム「スクラムフォース」<br>市原市消防局

日本の消防車両

消防ロボットシステム「スクラムフォース」
市原市消防局

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コンテナは搬送車から降ろして一体運用

内部に指令システムのあるコンテナを積載する搬送車は、いすゞ「ギガ」10t級シャーシがベース。消防ロボットシステム全体の搬送とともに、活動では中心的な拠点としての役割を担う。キャブの後方には大型の発動発電機を搭載し、外部給電することなく消防ロボットシステムをフル稼働させることができる。

これに積載されるコンテナは、前方に「スカイ・アイ」と「ランド・アイ」を上下2段に積載収納、後方に「ウォーター・キャノン」と「タフ・リーラー」を前後に積載収納する。現場活動の際は、コンテナは搬送車から地上へと降ろされ、電源コード4本を接続することによって、4台のロボットを降ろすための電源、そして降ろした後は内部に設置された指令システムのための電源を確保する。

指令システムは消防ロボットシステムを高度にコントロールするための中心的システムとなる。各ロボットから伝送される画像や計測データを解析し、各ロボットの活動を消防隊員に提案する。指令システムは進行方向右側側面の壁に沿って設けられ、上部には3面の大型ディスプレイ、テーブル上には3台のノートパソコンがあるほか、前方方向のラック内にはメインパソコンが搭載されている。内蔵されているシステムとしては、放水位置自動算出システム、画像処理による着水位置推定システムなどが特筆できる。「スカイ・アイ」「ランド・アイ」への指令装置(向かって右側のノートパソコンとその周囲)はそれぞれ取り外し可能な構造になっていて、単体での運用も可能になっている。これらのシステムの冷却のため、コンテナ上部前方にはエアコンを積載する。

スクラムフォース
コンテナには最後部から「ウォーター・キャノン」「タフ・リーラー」の順で収納され、後部ドアからはまず「ウォーター・キャノン」が降ろされる。
スクラムフォース
コンテナ最前部には上段に「スカイ・アイ」、下段に「ランド・アイ」が収納され、地上にはまず「ランド・アイ」から降ろされる。
スクラムフォース
コンテナ上には4台のロボットと通信するためのアンテナが立てられる。
スクラムフォース
指令システムは上部に3面の大型ディスプレイ(中央のみ32インチ、両サイド27インチ)、テーブル上には3台のノートパソコンがある。ノートパソコンは左側が「タフ・リーラー」、中央が「ウォーター・キャノン」、右側が「スカイ・アイ」と「ランド・アイ」のコントロールと情報交換用。
スクラムフォース
コンテナ内右壁面に沿って設けられた指令システムを後方から見る。
スクラムフォース
コンテナ内部の前方寄り、「タフ・リーラー」収納部と「スカイ・アイ」「ランド・アイ」収納部の仕切りのラックには消防ロボットシステムコントロールのための中心的存在となる大型パソコン、GISエンジンなどが設けられている。
スクラムフォース
コンテナ内部、前面の壁には機器の冷却のためのエアコン、4台のロボットのバッテリーの充電装置などが設置されている。
スカイ・アイ
スクラムフォース
偵察・監視ロボット「スカイ・アイ」。質量69kgの回転翼航空機ロボットだ。機体は耐熱構造で、輻射熱8.0kW/㎡まで耐用。自動離着陸、地図上の指定位置までのオートパイロットが可能で、最大速度は自律飛行時で約15km/h、マニュアル操作時は約60km/h。
スクラムフォース
機首部下部に装備されたカメラ。ヘリテレシステムの防振カメラ装置のような形状。
スクラムフォース
機体前面。右下に見える高精度GPSアンテナ、移動距離速度や針路を計測するセンサーにより自律航法が可能。
スクラムフォース
市原市消防局では現在、「スクラムフォース」を使用した訓練を輪番で実施し、職員のシステムに対する慣熟を深めている。この日の訓練のメンバーは、写真左から、八幡消防署 消防士・田村宙太、八幡消防署 消防士長・大村祐介、八幡消防署 消防士・長谷川雄大、八幡消防署 消防士・菊地真人、八幡消防署 消防士長・田中達也、八幡消防署 消防司令補・蔵本豊、八幡消防署 消防司令・酒巻薫、中央消防署 消防司令・佐藤司典、中央消防署 消防司令補・原田達也、中央消防署 消防司令補・内田光太郎、中央消防署 消防士・永山毅、中央消防署 消防士・姫野佑果、八幡消防署 消防司令補・東平雅博、以上の13名。
ランド・アイ
スクラムフォース
走行型偵察・監視ロボット「ランド・アイ」(タイヤモード)。車輪を出すことにより、最高速度約5.5km/hでの自律偵察走行が可能。輻射熱8.0kW/㎡まで耐用。
スクラムフォース
上面を前方から。手前は回転式レーザー距離計。その奥のアームはロボットハンド。
スクラムフォース
「ランド・アイ」のキャタピラモード。4輪のタイヤを収納することによりキャタピラが露出し、先行偵察するための高い障害物踏破機能を持つ。
スクラムフォース
前面。カメラ映像撮影のための照明を点灯した状態。
スクラムフォース
斜め後方から。高速性能はタイヤモードが優る。

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最前線で現場活動する4台の消防ロボット

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