救助工作車Ⅱ型 中間市消防本部

日本の消防車両

救助工作車Ⅱ型 中間市消防本部

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積載庫は事案ごとに区分け

今、救助隊を悩ませている課題の一つが、増加の一途をたどる救助資機材だ。災害の多様化が進むことで、先代の配備時と比べて資機材の数が圧倒的に増えている。この結果、先代車両では資機材を収めるだけでもひと苦労で、事案ごとの集中配置などができなくなっていた。

複雑に収納されている資機材を現場で迅速に取り出すには、日頃から収納場所を把握しておく必要がある。そのため新人隊員は恒例のクイズをクリアしなければならない。その名も「どこに何があるかクイズ」だ。クイズの洗礼を浴びることで場所を暗記してきたのだ。

バス型化することで新車両は収納スペースを先代車両の約2倍にまで拡大できたため、事案ごとに使用する資機材の徹底した区分けが実現した。むしろ次の20年間で資機材が増えることを想定し、現在空きスペースとしている場所もあるほど余裕がある。資機材の選定にもこだわり、油圧救助資機材やPPVファンは静寂性や即効性を重視し、電動のものを採用した。

リア
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シャッター解放状態。両側面積載庫の真ん中が三連はしご収納スペースとなっている。三連はしごの他、バスケットストレッチャーや単はしご、折りたたみ式のFRP製ボートなどの長尺物を収納。
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はしごを引き出した状態。
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車上への昇降はしごは大きめのものをチョイスし、安全性を向上させた。リアシャッター内の隙間にはオートハイドレックス用の水槽(写真シャッター内奥)を収納し、無駄を省いた。
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同車最大の特徴とも言えるリア。クレーンがないためすっきりとしている。リアシャッターのデザインは先代車両のデザインを踏襲した。
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リアには20mコードリールも設置。
照明類はオールクリアレンズ

さらに同車は照明類にまでこだわりを見せる。赤色点滅灯やウインカーなどの照明類はすべてクリアレンズにすることで見た目の統一感を出し、オリジナリティあふれる外観を演出している。また、消費電力を抑えることでバッテリー上がりを防ぐため、極力LED照明を採用した。さらに注目すべきはテールランプである。テールランプには2016年(平成28年)3月に発売されたばかりの小糸製作所製LEDコンビネーションランプ「歌舞伎デザイン」を採用し、オリジナリティに磨きをかけている。

管内災害に徹底対応するべく、自由で柔軟な発想のもと考え尽くされた同車は、その仕様・外観ともに「中間消防色のバス型工作車」として異彩を放っている。三連はしごの収納法やあえてのクレーン非搭載など、同車はバス型工作車の可能性を広げた一台と言えるだろう。

救助工作車II型 中間市消防本部
テールランプは小糸製作所製のLEDランプ、歌舞伎を採用。通常のテールランプよりサイズが大きいが、同車はクレーンを搭載しなかったため搭載スペースを確保できた。
左側面
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左側面は前部に交通救助系資機材、後部に水難救助系資機材を収納。
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潜水できない事案に対応するため、ソナー付の水中探査装置を新規導入した。要救助者がいると思われる場所までボートで接着し、ソナーで水中検索を行う。
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事故車両などのサスペンションを動かなくするためのラチェットベルトも積載する。
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当初、レスキューマックスを収納する予定だった鍵付き収納ボックスは、現場で運用した際の使い勝手の良さを考慮し、救助用枕木入れへと変更した。
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ラムシリンダーと絶縁工具はスカートボックス直上に引き出し式で収納。その上にはマキタのレシプロソーを収納。電動工具系はすべて同一バッテリーで動くものをチョイスし、互換性を持たせた。
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オートクリブはロングタイプを1セット積載庫内に収納している。
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油圧救助器具は電動式で、ルーカスでは最も大型のタイプを採用。スカートボックス内にスプレッダーとカッターを収めるため、絶妙な角度で支えの金具を配置している。
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マット型ジャッキはホースがはずれにくいように、バルブが埋め込み式になっているタイプを採用した。

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