水陸両用車「アーゴ」 静岡県警察本部

日本の消防車両

水陸両用車「アーゴ」 静岡県警察本部

水害現場で威力を発揮する走破性とコンパクトサイズ!

写真・文◎伊藤久巳
「日本の消防車2021」掲載記事

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水陸両用車「アーゴ」 静岡県警察本部
静岡県警察機動隊レスキュー部隊に2019年12月に配備された水陸両用車。カナダODG社製水陸両用車「アーゴ」で、8輪全輪駆動。水上でもタイヤの回転により駆動する。タイヤはARGO AT189 25×12 00-9NHSというサイズの幅広のもの。エンジンからの動力はローラーチェーン&スプロケットによって伝達される。

近年の水害の多さに鑑み、警察の機動隊レスキュー部隊に新たに配備されたのが水陸両用車「アーゴ」で、同車を積載して搬送するための水陸両用車搬送車とともに配備された。広域緊急援助隊として出動することを前提とし、浸水箇所(平行区域)における被災者の救出救助、被災地域における人員、装備、部隊輸送に使用するとされている。

「アーゴ」はカナダのODG(オンタリオ・ドライブ&ギアー)社が製作する水陸両用車。日本でも総務省消防庁が全国の消防本部に配備を進めたことでも知られる、水上走行も可能な8×8オフロード車両だ。大水害被災地は泥濘、がれきなどの障害物に覆われ、一般構造の車両の進行はしばしば阻まれる。アーゴはそんな悪路でも抜群の走破力を発揮して自由に走行可能で、水が引いていない地域があっても水上走行もできてしまうオールマイティな車両。

748㏄エンジンを搭載し、8輪にはローラーチェーンとスプロケットで硬質ゴム製ワイドタイヤに動力を伝達する。最高速度は陸上で32㎞/h、水上で5㎞/h。水上を進むプロペラなどはなく、タイヤを進行方向に回転させることで、タイヤのトレッドが水中で水をかいて進む。水上での活動を積極的に行うというものではなく、たとえ水上であっても真空一体成形式高分子量ポリエチレンボディと8輪のワイドタイヤによって沈むことなく活動を継続できるという範囲の車両だが、近年の大水害被災地でアーゴは大活躍している。

水陸両用車「アーゴ」 静岡県警察本部
ワンピース・オートバイ型ステアリングを採用し、アクセルは右手グリップスロットル式。エンジンはコーラー社製水冷748ccで、30馬力を発揮する。
水陸両用車「アーゴ」 静岡県警察本部
後席は横向き、向かい合わせにシートを設置。定員は陸上走行時は6名、水上走行時は4名、公道走行時は2名となる。公道走行用に小型特殊車両としてのナンバーを持つ。
水陸両用車「アーゴ」 静岡県警察本部
バンパーバーを装備する車体前面。真空ポリエチレン製ボディの形状がよくわかる。赤色警光灯とサイレンアンプは搭載されていない。フロントボンネット内にエンジンを搭載。ボンネット中央部と左右に内部との通風グリルが開けられている。
水陸両用車「アーゴ」 静岡県警察本部
走行イメージ。全長は3020mm、全幅は1525mm。
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