水陸両用車「アーゴ」 静岡県警察本部
水害現場で威力を発揮する走破性とコンパクトサイズ!
写真・文◎伊藤久巳
「日本の消防車2021」掲載記事
近年の水害の多さに鑑み、警察の機動隊レスキュー部隊に新たに配備されたのが水陸両用車「アーゴ」で、同車を積載して搬送するための水陸両用車搬送車とともに配備された。広域緊急援助隊として出動することを前提とし、浸水箇所(平行区域)における被災者の救出救助、被災地域における人員、装備、部隊輸送に使用するとされている。
「アーゴ」はカナダのODG(オンタリオ・ドライブ&ギアー)社が製作する水陸両用車。日本でも総務省消防庁が全国の消防本部に配備を進めたことでも知られる、水上走行も可能な8×8オフロード車両だ。大水害被災地は泥濘、がれきなどの障害物に覆われ、一般構造の車両の進行はしばしば阻まれる。アーゴはそんな悪路でも抜群の走破力を発揮して自由に走行可能で、水が引いていない地域があっても水上走行もできてしまうオールマイティな車両。
748㏄エンジンを搭載し、8輪にはローラーチェーンとスプロケットで硬質ゴム製ワイドタイヤに動力を伝達する。最高速度は陸上で32㎞/h、水上で5㎞/h。水上を進むプロペラなどはなく、タイヤを進行方向に回転させることで、タイヤのトレッドが水中で水をかいて進む。水上での活動を積極的に行うというものではなく、たとえ水上であっても真空一体成形式高分子量ポリエチレンボディと8輪のワイドタイヤによって沈むことなく活動を継続できるという範囲の車両だが、近年の大水害被災地でアーゴは大活躍している。