山岳対応用特殊救急車 東京消防庁

日本の消防車両

山岳対応用特殊救急車 東京消防庁

東京消防庁 八王子消防署 浅川出張所[東京都]

写真・文◎小貝哲夫
「日本の消防車2018」掲載記事

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山道で心マもできる日本初の山岳仕様アンビュランス

山は軽四駆に決定!

山岳対応用特殊救急車
山岳対応用特殊救急車は、ベース車にトヨタ・ライトエースを使用、東京消防庁管内初の導入となる。

東京消防庁は平成29年4月22日、八王子消防署浅川出張所に山岳対応用特殊救急車を配備した。同署は管内に世界で一番登山客が多い高尾山を抱えており、登山者の増加に比例して救急要請も増加している。

これまで傷病者の搬送は、資器材を搭載した軽自動車が道幅の狭い一号路(表参道コース:登山者が最も多いメインコース)で可能な限り直近に向かい、救助隊が担架でケーブルカー駅まで搬送、ケーブルカーで下山した後、麓の駅で救急車に乗せ替え搬送していた。しかし搬送に時間がかかる上に、足場が不安定な山道などでは心肺蘇生が行えないなど活動上の制約が多かった。

そこで浅川特殊救急小隊を中心に対応を模索し、トヨタ・ライトエースをベースにしたユニークな特殊救急車が誕生した。従来の高規格救急車と比較し全長が1.5m、全幅が0.2m、全高が0.4m、最小回転半径が0.8m小さいサイズになり、四輪駆動と相まって狭隘路での機動性が飛躍的に向上。走行不能だった林道への進入も可能となった。観光客が利用する狭隘な一号路を走行し、通常ならば出場後40分ほどで山頂の高尾山駅に到着できるようになった。

傷病者室は救急資器材収納庫などのコンパクト化を徹底し、ルーフキャリアにバックボードなどを収納。メインストレッチャーは室内高を考慮し、背の低い軽量アルミ製ストレッチャーを導入。防振架台を設置せず、側面下部の2ヵ所で確実に固定する。それでも従来の救急車に比べれば傷病者室の高さは圧倒的に不足しているので、狭い室内や山間部の急な坂道でも十分な胸骨圧迫(心臓マッサージ)を実施するために、自動式心臓マッサージ器を導入した。

コンパクトな車両に、自動式心臓マッサージ器や従来の救急車と同様の資器材を搭載した山岳対応用特殊救急車を活用することで、高尾山を中心にした山岳部における救急活動での救命効果の向上を図ることができる。

傷病者室にアクセスしやすいようにリアステップを装備するなど、機動性を損なわないよう配慮しながら、救急車としての使いやすさを実現している。
車内
傷病者室
限られたスペースに必要な資器材を効率よく配置した傷病者室。
安定した深さと絶え間ない圧迫によって、自己心拍再開に繋がる効果的な胸骨圧迫心臓マッサージが可能な自動式心臓マッサージ器を導入した。
無駄のないスペース効率のよさ
救助隊員が乗り込むと、無駄のないスペース効率のよさがよくわかる。
軽量アルミ製ストレッチャー
足の短い軽量アルミ製ストレッチャーは、側面下部の2ヵ所で固定。防振架台は設置していない。
運転席
運転席には限られたスペースを有効活用し、サイレンアンプの操作パネルを配置した。
右側面のスライドドア
右側面のスライドドアには、室内環境を管理する操作パネルや酸素ボンベを搭載する。
左側面のスライドドア
左側面のスライドドア。すぐに取り出せるように資器材を配置。

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ライト等

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