救急小隊長の「よい救急隊とは何か?」

岩壁 州 Iwakabe Shu

Iwakabe Shu 茅ヶ崎市消防本部 警備第二課 海岸救急小隊長 消防司令補

Interview

救急小隊長の「よい救急隊とは何か?」

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傷病者宅から少し離れた路上。傷病者を収容した車内で応急処置を行う。

感謝の言葉をかみしめたい

救急隊員

新德真一郎 しんとく・しんいちろう
警備第二課海岸救急小隊 消防士長
平成19年4月拝命、本署の第一小隊に配属。平成21年から救急隊の勤務を続け、平成26年に救急救命士の資格を取得。

前職で営業車を運転していたところ交通事故に遭遇、救急隊の活動を目の当たりにして、「これこそ一生の仕事」と思い消防への転職を決意しました。「いつかは救急隊へ」という想いがあり、その延長で救急救命士をとりました。

救急隊が対応する方はみな、とても辛い想いで119番通報をしています。重症でも軽症でも変わらず、数多いなかの一件一件を大事にしています。重症の方を助けることには達成感がありますが、たとえ軽症であっても、「ありがとう、こんなので呼んじゃって悪かったね」という感謝の言葉をかみしめたい。

まだ経験が浅いので、出動件数が多い海岸救急小隊での勤務は望むところです。先輩たちの活動を間近に勉強させていただき、いずれは岩壁小隊長のような小隊長になりたいです。消防は上下関係がとても厳しい職場ですが、わたしは後輩からいろいろな相談を受けたり、ざっくばらんな話ができるような小隊長になりたいです。

コミュニケーションがとれる小隊を!

救急隊員

吉川悠貴 よしかわ・ゆうき
警備第二課海岸救急小隊 消防士長
平成22年4月拝命、本署の第一小隊に配属。平成24年から救急隊の勤務を続け、平成30年に救急救命士の資格を取得。

実家の前のアパートが全焼したことがありまして、そのときの消防隊の活動を見て「すごいな」と圧倒され、自分も消防を志しました。茅ヶ崎市消防本部では最初は必ず消防隊を経験して消防の基礎を身につけるのですが、福祉系の大学を卒業したこともあって、いずれは救急隊勤務をしたいと考えていました。

救急救命士の資格取得後、まる一年経ちますが、医療従事者としていろいろ知識を得たからこそ、いろいろと病態を考えてしまい、現場活動に難しさを感じています。また責任の重さを改めて感じるようにもなっています。

一方で救急の活動を通して傷病者の方やご家族に感謝してもらえることがやりがいになっています。また心肺停止患者に接して自分たちの活動が救命につながったときは、救急隊員になって本当によかったと感じます。将来は岩壁小隊長のような小隊長として、きちんとコミュニケーションがとれる小隊をつくりたいです。

出動中に患者さんの前で隊員に厳しく接することはまずない。しかし訓練中は別だ。外傷・CPR訓練では隊員の所作をストップウォッチ片手に見つめる岩壁小隊長の厳しい視線が印象的だった。「マニュアルばかり見ているとなかなか人と人とのコミュニケーションがとれなかったり、マニュアルに書いていないことに対応できない。コミュニケーションの大事さをふだんから伝えるのがわたしの仕事です。いずれこのふたりも小隊長になったときに、隊員にそういうことを伝えていってくれたら、よい小隊長になるんじゃないですかね」(岩壁小隊長)
Jレスキュー2019年5月号 特集「—命の現場— 進化する救急隊」より
写真◎伊藤久巳

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