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「令和4年版消防白書」を公表 総務省消防庁

総務省消防庁は1月23日、「令和4年版消防白書」を公表した。
消防白書は、消防防災に対する国民の理解を深めることなどを目的として、毎年刊行されている。

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●1年間の消防・防災をめぐるでき事と重点施策を5つの特集に

令和4年版消防白書では、特集としてこの1年における災害対応を含む消防・防災をめぐる出来事や、同庁が重点的に取り組んでいる施策について、以下の5項目を取り上げた。

特集1 近年の大規模自然災害を踏まえた消防防災体制の整備
特集2 新型コロナウイルス感染症対策
特集3 消防団を中核とした地域防災力の充実強化
特集4 消防防災分野におけるDXの推進
特集5 令和4年10月4日および11月3日の北朝鮮による弾道ミサイル発射に伴う対応

特集1では、直近で甚大な被害が発生した令和3年の静岡県熱海市土石流災害を踏まえて実施した取り組みを紹介。また、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」における消防庁の取り組みとして行っている「大規模災害等緊急消防援助隊充実強化対策」や「地域防災力の中核を担う消防団に関する対策」などの8つの対策も紹介した。さらに、「第6回緊急消防援助隊全国合同訓練」で実施した図上訓練のほか、土砂災害救出訓練や津波漂流者救出訓練といった実動訓練についても掲載した。

土砂災害救出訓練(令和4年版消防白書より)
実動訓練として行われた土砂災害救出訓練

特集2では、新型コロナウイルス感染症対策として、救急現場における救急隊員の感染防止対策や救急搬送困難事案への対応のため実施した取り組みを紹介。具体的には、救急隊員へ実施した注意喚起等や、感染防止資器材の確保と提供、保健所等関係機関との密な情報共有と連絡体制の構築などの施策を記載した。

特集3では、入団者数が減少傾向にある消防団の現状に対して、年額報酬等の標準額や消防団員への直接支給等を定めた「非常勤消防団員の報酬等の基準」の策定や、各市町村が負担する消防団員の報酬等に関わる財政需要を的確に反映するように行った地方交付税の算定方法の見直しといった、消防団員の処遇改善と団員確保に対する施策を紹介した。

特集4では、消防防災分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために実施した施策を紹介。マイナンバーカードを活用した救急業務の迅速化・円滑化や、消防法令における各種手続の電子申請等の導入促進、活動マニュアルや訓練教材等を関係機関間で共有する「消防共有サイト」の整備、VRを活用した訓練コンテンツの作成等が記載された。

特集5では、北朝鮮の弾道ミサイルの発射に対して、日本の領土・領海を通過または通過する可能性のあった10月4日と11月3日の事例を紹介。緊急事態調整本部の設置や、Jアラートによる情報伝達、Jアラート対象地域に対して適切な対応および被害報告について要請したことを紹介した。また、Jアラートの送信時間を早めるといった改善策の検討と、住民への情報伝達に支障があった市町村に対して早急な復旧や代替手段の活用による情報伝達体制の確保等、課題と対応についても記載した。

●各種災害の現況と課題
 消防防災の組織と活動等に焦点を当てる

同白書では、本編として6章に分けて火災や風水害をはじめとする各種災害の統計数値を含む現況と課題、消防防災の組織と活動等について記載した。各章の主題は以下の通り。

第1章 災害の現況と課題
第2章 消防防災の組織と活動
第3章 国民保護への対応
第4章 自主的な防火防災活動と災害に強い地域づくり
第5章 国際的課題への対応
第6章 消防防災の科学技術の研究・開発

この中で「火災の現況と最近の動向」として、令和3年中の出火件数は3万5222件で10年前の70.4%、火災による死者数は1417人で10年前の80.2%となり、10年間の出火件数と火災による死者数はおおむね減少傾向にあることが示された。

直近10年間の火災の推移と傾向
直近10年間の火災の推移と傾向(令和4年版消防白書より)

令和4年版消防白書は、総務省消防庁のホームページ(https://www.fdma.go.jp/publication/)で公開しているほか、同省3階の消防庁総務課で閲覧できる。

総務省消防庁は1月23日、「令和4年版消防白書」を公表した。 消防白書は、消防防災に対する国民の理解を深めることなどを目的として、毎年刊行されている。

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