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【コラム】「化学車3点セット」って何?

夜景の中でも人気が高い工場地帯。そんな工業地帯で危険物火災に備えて配備されている「化学車3点セット」ってどんな消防車なの?

写真◎編集部

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消防車
危険物火災消防演習にて。化学車3点セット(2点セット)が連携して活動を行う。

製油所タンク火災の教訓から誕生した化学車3点セット

水では消せない工場火災や車両火災などで泡消火剤を使用して消火活動を行うのが化学消防ポンプ自動車だ。その化学消防ポンプ自動車と連携して危険物火災に対応するのが「化学車3点セット」である。

化学車3点セットとは、石油コンビナートなどの大規模危険物災害に対応するため編成された部隊のことをいう。3点セットは、大型化学車、大型高所放水車(大型化学高所放水車)、泡原液搬送車から編成されている。この化学車3点セット、どのような理由で誕生したのか?

昭和50年2月16日に三重県の大協石油(株)四日市製油所で容量2万2千キロリットルの灯油タンクから出火。幸いなことに死傷者は出さずに済んだものの、鎮火まで実に約4時間を要し、その間は工場内の他の危険物施設への延焼拡大という脅威が続いた。この火災をきっかけに、タンク火災が発生した場合に迅速な消火活動ができる化学消防設備の整備充実や自治体消防機関の化学消防力の強化が緊急の課題となった。

またその前年にあたる昭和49年12月には地震予知連絡会によりコンビナート地帯を抱える神奈川県川崎市で直下型地震発生の危険性があることが発表されていた。これらを踏まえ、昭和51年6月に「石油コンビナート等災害防止法」が施行された。

この法律は石油や高圧ガスなどを大量に集積するコンビナートを「特別防災地域」に指定した上で、その区域には大型化学車・大型高所放水車・泡原液搬送車からなる「3点セット」といった車両や、可搬式放水銃、泡放射砲、耐熱服、さらにはオイルフェンスといった防災資機材を備えるなど、総合防災体制の確立を義務付けた。

運用する消防隊員は8名で構成され、泡原液搬送車から大型化学車へ泡原液を送り、大型化学車から大型高所放水車へ混合液を送り放射する運用方法であったが、平成18年に法改正が行われ、従来の3点セットによる運用方法から大型化学高所放水車・泡原液搬送車からなる2点セットの運用方法が可能となった(一部を除く)。ただし、大型高所放水車に大型化学車の機能を持たせた車両である大型化学高所放水車を配備することが前提となっている。

近年では、化学車3点セットの高機能化が検討されており、3点セットの各機能を1台に集約した車両(オールインワン型消防車両)の導入が検討されている。

化学車3点セット

消防車
大型高所放水車
ブームを起立させることにより、大型化学車が送られてくる泡消火剤を高所から遠い位置へ大量に放出することが可能となる。
消防車
大型化学消防ポンプ自動車
泡原液搬送車から送られてくる原液を、大型ポンプで水と混合させて大型高所放水車へと送水する。
消防車
泡原液搬送車
荷台に乗せた大きなタンクの中に泡消火剤の原液となる液体が積載されており、大型化学車へ送水する。原液が足りなくなった場合には貯蔵タンクから補給するというタンクローリーのような消防車である。
消防隊
危険物火災で発生する輻射熱から隊員を守る耐熱服。
消防車
大型化学高所放水車
化学車2点セットと呼ばれる場合は、大型高所放水車と大型化学車が一体となった消防車で、泡原液搬送車とペアで活動する。
夜景の中でも人気が高い工場地帯。そんな工業地帯で危険物火災に備えて配備されている「化学車3点セット」ってどんな消防車なの?
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