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【コラム】消防装備のマメ知識
冬の備え「タイヤチェーン」

冬季の緊急走行で最も危険なのが道路の路面凍結だ。最近は、スタッドレスタイヤでの対応が普及しているが、確実なタイヤチェーンの使用法を考えてみよう。

写真・文◎橋本政靖
(Jレスキュー2011年1月号掲載記事)

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消防活動は時と場所を選ばないために、路面が完全に凍結していても要請があれば出場しなければならない。しかし、この路面凍結が最も危険なのである。ここで「四輪駆動車だから大丈夫」と思うなかれ。走るときは二輪駆動の倍の駆動力があるが、止まるときは一緒なのだから。走らないより止まれないほうがとても危険なのである。

そんな路面凍結の際にはスタッドレスタイヤだけではなくタイヤチェーンを装着すべきである。しかし、タイヤチェーンは装着が面倒であり、走行時の振動や速度制限のために敬遠される傾向にある。スタッドレスタイヤが普及しているために一般車両が装着することは少なくなってきているが、消防車両については消防本部によっては積雪時には必ず装着することなどの規定がある場合もある。しかし、一般的な鎖のチェーンでは凍結路と乾燥路が入り混じった場合などでは振動が激しくスピードが出せないため走行性が非常に悪くなる。

その鎖のチェーンの走行性を改善する方法としてワイヤーチェーンを用いる方法がある。このワイヤーチェーンはスプリングチェーンやケーブルチェーンなどとも呼ばれており、一般に使用される鎖のチェーンがその名のとおりチェーン(鎖)であるのに対して、ワイヤーチェーンはワイヤー式となっている。鎖のチェーンでの制限速度は一般的に時速30キロメートル以下であるが、このワイヤーチェーンの場合には細く凹凸が少ないため時速50キロメートル以下となっている。そのため、凍結路と乾燥路での振動等は少なく走行性は向上する。ただし、タイヤが埋まるような積雪時にはチェーンの凹凸が効いてくるために鎖のチェーンとすべきであろう。深い積雪路の場合には駆動輪に鎖、操舵輪にワイヤーを装着する手もある。

今回紹介したワイヤーチェーンはタイヤの種類によって様々なタイプが発売されているので、ディーラー等に相談するとよいだろう。これにより、冬場の消防活動が少しでも迅速になればと思う。

チェーン
凍結路には不可欠なタイヤチェーン。
チェーン
左側が一般的な鎖のチェーン、右側がワイヤーチェーンである。
冬季の緊急走行で最も危険なのが道路の路面凍結だ。最近は、スタッドレスタイヤでの対応が普及しているが、確実なタイヤチェーンの使用法を考えてみよう。
写真・文◎橋本政靖 (Jレスキュー2011年1月号掲載記事)

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