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【コラム】ランクル消防車「ポン太」と北海道の旅
―第2回目―

子供の頃の夢。
小学生の卒業文集に“消防士になる”と書いた。
しかし、中身をよく読むと“消防車でドライブがしたい”という極めて不純な動機で消防士を目指していたことがわかる。
この夏、その夢を果たしに僕は34年落ちのトヨタ・ランドクルーザー(通称・ランクル)60系の元消防車「ポン太号」で北海道へ13日間の旅に出た。

写真・文◎UsUk

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2024年9月2日(5日目)

腹が減って目を覚ます。
起床と同時に無駄のない動きで、お得意のツナご飯を作る。それをプロテインで腹に流し込み一日が始まる。
今日も予定は決まっていない。
地図を開き、どこへ行こうか眺めると、南下60km先に旭川の街があるようだ。
今回の旅の食料調達や資材の購入などショッピングをしようかと考えていた頃でもあった。
天気は怪しいものの何とか雨は降らず保っている状態。

ポン太と北海道の旅
夜が明けた「道の駅もち米の里☆なよろ」。

のどかな田園風景の中を走る。
途中で30分の昼寝を挟み、11時すぎに旭川についた。
北海道の中心に位置するだけあり大きな町である。今回の旅で実は大事なものを忘れた。
キャンプ用の折りたたみ椅子である。
安く仕入れるため大きなリサイクルセンターに立ち寄り、セール中のキャンプ椅子を見つけ購入した。(ホームセンターで同じものが同価格で売っていたことは内緒である。)

ポン太と北海道の旅
なんでも興味津々なご老人。

外に出るとポンタ号を眺める一人のご老人がいた。
私が持ち主だと分かるや否や猛烈な質問攻めを展開。

写真は撮っても大丈夫か? Facebookにあげても大丈夫か? とにかく、これはどうなっているんだ。ここはなんだ。
写真を連射する彼から人間の知への欲求を感じた。旭川のリサイクルセンターで男二人談笑に花が咲く。

ご老人と別れ、進路を西に取り湧別を目指すことに。
出発するころには15時になっていた。
湧別には大好きな道の駅がある。
「道の駅 かみゆうべつ温泉チューリップの湯」。
旭川から国道333号線、273号線紋別経由、国道239号線でおよそ160km。
夕暮れ時、辺りが暗くなる中ヘッドライトに照らされた道を行く。
いかにもクマが出そうな道。しかし、今は車に乗っている。
戦っても勝てはするが、なにぶん古いクルマ故、故障したら代わりの部品がない。
そうなると、再起不能になることだってある。
「試合には勝つが戦いに敗れる」とはこのことか……と考えていたのも束の間、左側に妙なホーロー看板を見つけた。
渚滑駅前にあるというライダーハウスの看板。渚滑駅。聞いたことがない。

ポン太と北海道の旅
渚滑駅の表記が残る看板。クマが出そう。

それは、何十年も前に廃止になっている路線の駅だった。
その遺構として今日まで残されていたのだろうか。
風雪厳しい北海道では、このような看板はあっという間にボロボロになる。
それでも残っているということは誰かが意図的に書き直しているのではないかと推測できる。
何であれ、気づかなければただの古い看板。小さな喜びを感じた瞬間であった。
紋別では給油して国道239号線を走り、中湧別を目指す。
着いた頃には18時を過ぎていた。
この道の駅は、かつての駅跡を上手くモニュメントにして保存している。

かつての鉄道へのリスペクトを強く感じることができる素晴らしい道の駅である。
そして、何よりお気に入りのポイントが隣に併設されている。
「チューリップの湯」。
ただの温泉と侮ることなかれ。サウナがいい。綺麗で温度が高い。水風呂は湧別川からの伏流水。
今回も一撃でキマってしまい、お風呂を出る頃にはコテコテになっていた。

さて、明日はどこへ行こうか。車に戻って地図と天気予報を睨めっこ。
明日はどうやら晴れるらしい。
そうと来れば行先は美幌峠。
ビールでパスタを流し込み床に就いた。

ポン太と北海道の旅
寝る前の栄養補給も欠かさない。

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美幌峠まで100km、根室を目指す

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