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Report
阪神・淡路大震災から30年
震災実動訓練 ー神戸市消防局ー
神戸市消防局は2025年(令和7年)1月9日~11日の3日間、兵庫県立広域防災センターにて、救助隊を対象にした「震災実動訓練」を実施した。
写真◎編集部
阪神・淡路大震災から30年
あの日の思いを受け継ぐために
神戸市消防局は、兵庫県立広域防災センターにて、全救助隊を対象にした「震災実動訓練」を実施した。
訓練には、神戸市消防局の消防救助隊延べ30隊150名(各日10隊50名)が参加し、震災の経験や教訓を多くの職員に継承するという理念のもと、「救助活動の優先順位」「効果的な資機材の活用」「最先端技術の活用」を習得し、過酷な状況が予測される南海トラフ地震等の大規模地震への備えを万全なもとする狙いがある。
訓練は、震度7の地震が発生したとの想定で、火災を含めた多数の災害現場が発生。阪神・淡路大震災時と同様の人員・資機材が不足する劣勢状況下で進められた。
主な災害現場として、「列車脱線事故により発生した要救助者の救助」「震災により発生した建物火災の消火」「建物が倒壊し下敷き状態となった要救助者の救助」「容易に近づけない場所(高層ビル上階、河川橋げた)に取り残された要救助者の救助」「ガス管破裂による応急処置」に消防隊や救急隊はいない状況で、救助隊だけで活動が行われた。
現場指揮所が選定した救助隊は、徒歩もしくは自隊の車両を使用し現場へ出動。到着後は現場状況を確認し活動を開始した。生存者を全員救助すれば事案終了とし、撤収・引き揚げ、次の出動に備えるという流れ。また、使用できる消火栓は2カ所のみという設定であった。
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震災当時を思い出させるように、助けを求める住民に扮した職員が詰め寄り、泣き叫ぶ住民や罵声を浴びせかける者がいる状況を再現。混乱した状況下で、救助隊は感情を刺激されながらも、冷静な判断と迅速な救助対応で進めていく。限られた人員と資機材の中で、救助隊単体の能力で多くの人命を救助する。「助けられなかった」という悔しさを知る彼らから感じる強い気持ちは、震災から30年を迎えても劣ることなく継承されていた。
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