パンクしても走れる救急車用タイヤとは? その全容に迫る!

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パンクしても走れる救急車用タイヤとは? その全容に迫る!

総務省消防庁消防大学校消防研究センターと株式会社ブリヂストンは、パンクしても走行を続けることができる「救急車・指揮車パンク対応タイヤ」を共同で研究開発した。いったいどのような構造になっているのか、その報道発表の様子をレポートする。

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これまでの救急車や指揮車のタイヤは、災害などで荒れた路面を走行してパンクしてしまった場合、タイヤが潰れて走行を続けることができなかった。しかし、今回研究開発された「パンク対応タイヤ」は、ブリヂストンが保有する、タイヤのサイド部分を補強することにより空気圧がゼロになっても所定のスピードで一定距離を走行可能とする技術「ランフラットテクノロジー」を救急車などに応用することで、パンク後でも一定程度の走行を続けることが可能となった。必要な性能としては、時速40㎞で走行距離50㎞を想定している。

タイヤ
タイヤ

このパンク対応タイヤは、タイヤ本体(スタッドレスタイヤ)、専用ホイール、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)をセットで装着することにより使用可能となる。タイヤ空気圧監視システムとは、タイヤの空気圧が不足した際、運転席に設置された受信機が知らせてくれるシステムである。

空気圧監視システム
タイヤ空気圧監視システム

今回採用された最新のサイド補強ゴムは、パンク走行時の発熱を抑制し、高温でも壊れにくい特性を持っている。そのため、従来の補強ゴムと比較してパンク走行時の耐久性を維持したまま、補強ゴムを薄くすることが可能となった。パンク走行時に荷重を支えるために硬い特性を有する補強ゴムを薄くできることに加え、通常走行時の温度域では軟らかい特性を有していることから、通常走行時の乗り心地も向上している。

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タイヤの断面 左:通常のタイヤ 右:パンク対応タイヤ
タイヤの断面(左:通常のタイヤ 右:パンク対応タイヤ)

タイヤのサイド部の冷却技術として、表面に特殊な形状の突起を設けることで、空気の乱流を促進してタイヤを冷却する技術「クーリングフィン」を採用している。突起の形状を最適化した最新の「クーリングフィン」を搭載することで、より効率的にタイヤを冷却することが可能となり、パンク走行時のサイド部の温度上昇を抑制、耐久性の向上を実現した。

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※ピンク斜線部:「クーリングフィン」

編集部もパンク対応タイヤでの走行に試乗させていただいたが、通常時との違いは全くと言っていいほど分からなかった。今後、このタイヤが普及していくことで、災害現場などにおいて安全安心でより早い救急搬送が行われることに期待したい。

総務省消防庁消防大学校消防研究センターと株式会社ブリヂストンは、パンクしても走行を続けることができる「救急車・指揮車パンク対応タイヤ」を共同で研究開発した。いったいどのような構造になっているのか、その報道発表の様子をレポートする。

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