千葉市消防局が海上保安庁との合同水難救助訓練を実施

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千葉市消防局が海上保安庁との合同水難救助訓練を実施

写真・文◎小貝哲夫

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令和4年11月21日、千葉市消防局は中央消防署臨港出張所桟橋脇海域において、羽田特殊救難基地所属の海上保安庁特殊救難隊との合同水難救助訓練を実施した。この合同訓練は令和3年から実施しており、令和4年で2回目の合同訓練となる。訓練には千葉市消防局29名(中央消防署特別救助隊15名、美浜消防署特別救助隊14名)、海上保安庁8名(特殊救難隊5名、千葉海上保安部2名)が参加した。

千葉港に造成された人工海浜(いなげの浜、検見川の浜、幕張の浜)の総延長4,320mと日本一の長さを誇っている。夏には日光浴の人々で賑わうが、幕張の浜では令和3年まで4年連続で水難死亡事故が起きている。

この不幸な状況を踏まえ、ファーストレスポンダーとして千葉市沿岸の安心・安全を守るために、海難事故に関する高度な知識・技術を有する海上保安庁との合同訓練計画を策定し実施に至っている。令和3年の訓練は実際にあった事案をベースにしたシナリオ形式で、すべての訓練終了後に意見交換を実施している。一方、今回は訓練の質を重視し環状捜索と陸上誘導捜索をメンバーを変えながらじっくりと行った。

隊員は海から上がるとすぐにミーティングを行い、索信号の送り方や捜索スピードの変更、水中でのコミュニケーションの取り方など特殊救難隊隊員からのフィードバックを受ける。さらに次のターンで実際に試すという訓練サイクルは、この方法の大きなメリットと言える。訓練の合間にも、個別でも細かな意見交換を行っているシーンも多く見られた。

一般的に特殊救難隊は少人数で活動することが多いが、大人数の捜索が必要な事案では消防隊員が加わる可能性がある。より広範囲を捜索できるメリットの反面、意志疎通が滞ると大きな足かせになってしまう。さまざまな事案に対応する必要があるオールラウンダーとしての消防としては、海難事故のスペシャリストである特殊救難隊の技術を吸収できる意義は大きい。また顔の見える関係を構築することで、円滑かつスピィーディな捜索に大きくプラスになることは間違いない。

海の中でも頻繁に会話でコミュニケーションを図っている。
海の中でも頻繁に会話でコミュニケーションを図っている。
肌寒い雨の中の訓練になったが、隊員の熱気が漲っていた。
肌寒い雨の中の訓練になったが、隊員の熱気が漲っていた。
“鉄は熱いうちに打て”、海からあがるとすぐにミーティングを行い、問題点を洗い出していく。
個別にもアドバイスを受けるシーンも随所にみられた。
個別にもアドバイスを受けるシーンも随所にみられた。
合同水難救助訓練に参加した千葉市消防局、海上保安庁特殊救難隊の皆さん。
合同水難救助訓練に参加した千葉市消防局、海上保安庁特殊救難隊の皆さん。
写真・文◎小貝哲夫

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