東武東上線の新型鉄道車両で人身事故対応訓練<br>東京消防庁板橋消防署

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東武東上線の新型鉄道車両で人身事故対応訓練
東京消防庁板橋消防署

令和6年2月29日、東京消防庁板橋消防署は、板橋区内の東武池袋駅管区操車場において人身事故対応訓練を警察と合同で行った。

写真◎編集部

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令和6年2月29日、東京消防庁板橋消防署は東武東上線池袋管区、川越乗務管区、森林公園管区から75名、板橋警察署22名、板橋消防署、練馬消防署特別救助隊、石神井消防署特別救助隊等70名、総勢167名が参加する「人身事故対応訓練」を行った。

本訓練の目的は、従来の鉄道車両が新型車両に移行してきたため、新型車両に適応した救助活動が行えるようにすること。これは、東武東上線沿線で事故等が発生した際、出場地域として受け持つ特別救助隊が鉄道車両をポートパワー等での持ち上げの際に安全に救助活動が行えるように特別救助隊向けの講習会も兼ねており、特別救助隊員等が東武東上線メカニック部門担当者から車両の特性について教養を受けた。

受講した特別救助隊から板橋消防署特別救助隊が代表し、新型車両に合わせた救助活動の実戦的訓練を実施。車両をポートパワー等で持ち上げ、消防と警察が連携し負傷者の早期救出と早期運転再開までを想定した訓練を行った。訓練に参加した特別救助隊員は、「講習と実践訓練で得た知識と経験を、今後は実災害を通して迅速な救助活動へと繋げていく」と述べた。

東武東上線
訓練会場となった東京都板橋区板橋二丁目にある東武池袋駅管区操車場。写真の電車が訓練で使用する新型車両。

車体構造と注意点

※ 東武東上線新型車両の場合

①圧縮空気の漏気の有無を確認する

1. 乗務員が漏気処置に応急対応するが、作業開始前には必ず確認する。
※空気配管やタンク類が破損した場合、ブレーキが効かなくなる場合があるので車輪止めを行う。
※空気バネ部分が破損した場合、車高が下がる危険性があるので車体の下に入る際は高さに注意する。

②パンタグラフ・発電機・コンプレッサー

1. パンタグラフを降下すると架線から車体へ電気を取り入れることができない。

2. 主制御器(VVVF)、発電機(SIV)はパンタ降下後、コンデンサ放電まで3分程度要する。

3. 電気を取り入れる事ができないと、車両搭載のSIVとコンプレッサー(CP)が停止する。

4. SIVが停止すると予備灯以外の蛍光灯が消える。(予備灯は1車両あたり4灯)

5. 冷暖房が停止する。

6. 予備灯はバッテリーで点灯するが点灯可能な時間は30分程度。バッテリーがなくなると室内灯はすべて消える。

7. CPが停止すると、圧縮空気を留めることができなくなる。

8. 圧縮空気を留めることができないと使用可能な圧縮空気は各タンク類に残っている圧縮空気のみとなる。
※圧縮空気を使って動作させている機器類=ブレーキ装置、空気バネ、客室用ドア等。

車両講習

消防訓練
東武東上線メカニック部門の整備士から車両の構造や特性などの説明を受ける。
消防訓練
車両の持ち上げるためにポートパワー(20t)の安全な設定位置を確認する。
消防訓練
車両への損傷を与えないように安全を確認しながら手動式油圧ポンプで車両を持ち上げる。
消防訓練
車輪が線路から数ミリだけ浮いている状態。

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実戦的救助訓練では警察と消防が連携した活動!

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