暑熱順化訓練を考える<br>―対応能力低下と重大事故を防止するために―

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暑熱順化訓練を考える
―対応能力低下と重大事故を防止するために―

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暑熱順化の仕組み

暑熱順化は、繰り返し十分な熱ストレスにさらされて深部体温が上がり、汗が流れることで起こる。暑い中で、活動を休止して休憩しても順化は起こるが、それは部分的な暑熱順化にすぎない。暑い中での身体的エクササイズは、暑い環境中での適切なものであれば理想的な暑熱順化をもたらす。

一般的な場合、暑熱順化には2週間程度の暑さにふれる期間が必要である。また、最低でも毎日2時間は暑いと感じる時間が必要で、これは1時間ずつに区分してもよい。これには、筋トレや腕立て伏せのような運動ではなく、持久力を鍛えるような行進訓練やジョギングのようなもののほうがよい。毎日のエクササイズの時間を段階的に増やし、強度もあげていく。部隊の目標に応じて、適切な訓練計画を立てることが重要である。

暑熱順化における効果は、1週間程度は維持され、暑熱にさらされることがなくなれば、それから減少して3週間程度で75%は失われる。ただ、1日や2日、涼しい日があったところで、暑熱順化に影響はない。

暑熱順化訓練のポイント、真夏のCBRN災害で化学防護衣を装着した活動に備えるため陸上自衛隊化学学校研究部が作成した「暑熱順化訓練のプロコトル」とは……。この記事の続きはJレスキュー2024年9月号に掲載!

最近では、『暑熱順化』という言葉を聞くようになった。そもそもこの暑熱順化訓練とは何なのだろう? どんな効果があるのだろう? どれくらいの早さで慣れるものなのだろう? どんな風にやればいいんだろう? そんな問いかけに答えていきたいと思う。
文◎浜田昌彦

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