24時間対応の機動査察隊<br>歌舞伎町の防火査察に出動!

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24時間対応の機動査察隊
歌舞伎町の防火査察に出動!

2019年(平成31年)4月3日に運用が開始された新宿消防署機動査察隊。その最大の特徴は、高度な知識と経験を有する交替制の査察専従員を配置し、24時間体制で休日や夜間であっても必要に応じていつでも立入検査が可能な点にある。
新宿消防署 予防課 防火安全対策係長として機動査察隊を率いるのは、査察の現場を知り尽くした加藤元宏だ(役職は取材当時のもの)。

写真◎伊藤久巳
Jレスキュー2019年7月号掲載記事

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すべての雑居ビルが対象
アポなしで査察に入る

歌舞伎町やその周辺の繁華街では、ホストクラブやキャバクラなど営業時間がかなり遅い時間帯の店舗が多く、夜の9時オープンの店などは当たり前。これらの店舗に立入検査したくても日中は営業しておらず、日勤の時間帯では対応できないのが現状であった。そこで新設されたのが機動査察隊で、24時間体制で立入検査や違反是正指導を行うこととなる。また夜間や休日に消火器の使い方等を指導するなど、自衛消防訓練指導を実施することも可能となった。さらに、予約制にはなるが大久保出張所において、消防計画等の書類作成指導・受付など窓口業務も時間外に行える。

機動査察隊は大久保出張所内の予防課防火安全対策係に配置される。職員は3部制の隊員が6名、基本的に消防司令補と消防士長のペアで当務にあたり、さらに統括する立場の消防司令補をくわえた計7名。そして防火安全対策係長の加藤元宏が隊長を務める。

「防火安全対策には、立入検査をして、違反があればその場で関係者、それも店長以上の責任者に直接指導するのが一番効果的。防火管理講習を受けるよう促したり、たとえば『防火管理者専任届け出』の書き方など書類の作成指導を現場でできます」(加藤隊長)

4月3日に発隊後、本庁での研修を経て、実質的に4月19日から本格的に稼働しており、4月末の時点ですでに消防法第5条の3第1項の規定に基づく「防火対象物における火災の予防又は消防活動の障害除去のための措置命令」を6件発令している。

「わたしたちが主に実施するのは階段や通路など避難施設の査察ですのでアポイントメントは取らず、『こんにちは』あるいは『こんばんは』と言って入っていきます。イベント的に1日で多数の建物の立入検査を実施する一斉査察の場合は、過去の違反率などから事前に査察対象を絞り込みますが、わたしたちは所管する歌舞伎町一、二丁目と新宿三丁目(四谷消防署と折半)のうち、特定用途と呼ばれる飲食店や店舗、いわゆる雑居ビルを全部査察するということで、基本的に所管する地域の端から順に実施しているところです」(加藤隊長)

査察対象のビルの規模と違反の有無で、1当務に実施できる件数はまちまちだ。多いときは8~9対象実施できるが、1対象のみで終わってしまうこともある。事務処理も多い。基本的に午前中は査察の準備や受付事務処理、検査の支援などの業務があり、午後から出向することが多い。主に夕方から夜間にかけて査察業務に入る。

東京消防庁機動査察隊
査察業務に対する経験と、査察と予防に関する庁内資格をもった隊員が広く庁内から選抜された。

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