大規模テロ災害対応訓練<br>―横浜市消防局―

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大規模テロ災害対応訓練
―横浜市消防局―

解毒剤自動注射器で実戦訓練!

写真◎伊藤久巳、横浜市消防局提供
Jレスキュー2022年9月号掲載記事

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令和4年7月6日(水)、横浜市消防訓練センターにおいて横浜市消防局主催による大規模なテロ災害対応訓練が実施された。

訓練は、劇場内で何らかの薬剤が撒かれ、多数の傷病者が発生したという想定の多数傷病者発生NBC災害対応。消防局からは指揮隊、指揮支援隊、特別高度救助部隊、特殊災害対応隊、特別救助隊、大型除染隊、大型除染支援隊、消防隊の計26隊約100人が参加。新たな試みとして、東京オリンピック・パラリンピック開催前に消防が使用可能になった解毒剤自動注射器の使用訓練も実施。今回は、横浜市立大学附属市民総合医療センター高度救命救急センターの竹内一郎センター長をはじめとする救急医療チームも参加し、解毒剤自動注射の使用について医師の判断を仰ぐ形式で実施。傷病者役として湘央生命科学技術専門学校の学生も多数参加した。

化学剤遠隔検知装置「ポルトス」による広範囲の検知活動や、消防ホースを活用した進入統制ラインの設定、早期の脱衣除染等が実施された。当日は、総務省消防庁の方々も視察に訪れ、解毒剤自動注射器の使用状況等を確認していた。

NBC災害訓練
災害発生直後。NBC災害ではゾーニングとして、まず進入統制ラインを設定するが、本訓練では黄色の目立つ消火用のホースを活用して進入統制ラインを設定。指揮隊がラインの外側から歩行可能な傷病者に自力での移動を指示する。
可搬型化学剤監視システム「ポルトス」
広範囲の空間検知のために可搬型化学剤監視システム「ポルトス」を使用。
レベルA化学防護服
レベルA化学防護服を着装した特別高度救助隊がホットゾーンに入る。
現場の状況を現場指揮本部に報告
現場の状況を現場指揮本部に報告して情報を共有。
ショートピックアップ
毒物と思われる場所から要救助者を遠ざけるショートピックアップ。
これ以上の剤の拡散を防ぐために、応急的に剤にカバーをかけ蓋をする
これ以上の剤の拡散を防ぐために、応急的に剤にカバーをかけ蓋をする。
劇場の外にも歩行困難な要救助者が多数倒れている。
劇場の外にも歩行困難な要救助者が多数倒れている。
8割除染の効果がある脱衣をいち早く実施。レベルA化学防護服を着装した状態で脱がせる。
8割除染の効果がある脱衣をいち早く実施。レベルA化学防護服を着装した状態で脱がせる。
脱衣をスムーズにする、衣服を切るカッターも投入。
脱衣をスムーズにする、衣服を切るカッターも投入。
解毒剤自動注射器(訓練用)により解毒剤を打つ
ショートピックアップでホットゾーンの劇場内から建物外へ救出し、神経剤が疑われたため、解毒剤自動注射器(訓練用)により解毒剤を打つ。
解毒剤の使用履歴を患者の手の甲に記入しておく。
解毒剤の使用履歴を患者の手の甲に記入しておく。
解毒剤自動注射器(訓練用)はナンバリングして管理しておく。
解毒剤自動注射器(訓練用)はナンバリングして管理しておく。
救急隊が次々とトリアージを実施していく。
救急隊が次々とトリアージを実施していく。
救急医療チーム
救急医療チームとして出動した竹内医師が傷病者の処置・搬送の優先順位などを遠隔から指示していた。
活動隊員は水除染を実施後、もっとも汚染している可能性の高い足の裏に剤が残っていないかをチェック。
活動隊員は水除染を実施後、もっとも汚染している可能性の高い足の裏に剤が残っていないかをチェック。
消防局職員だけでも約100名が参加した。
消防局職員だけでも約100名が参加した。
解毒剤自動注射器で実戦訓練!
写真◎伊藤久巳、横浜市消防局提供 Jレスキュー2022年9月号掲載記事

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