ロープレスキュー競技会「GRIMP JAPAN 2023」想定レポート<br>Day2 M-1「フルタニ商店」

Report

ロープレスキュー競技会「GRIMP JAPAN 2023」想定レポート
Day2 M-1「フルタニ商店」

令和5年(2023年)3月17~19日の3日間、徳島県三好市でロープレスキュー技術を競う国際大会「GRIMP JAPAN 2023」が開催された。
同大会には海外から参加した5チームを含む24チームが出場し、10種類の想定で得点を競い合った。
今回は大会2日目の想定から「M-1 フルタニ商店」について解説する。

想定解説◎GRIMP JAPAN

Twitter Facebook LINE

想定内容

斜面に立っている建物の下の鉄骨(高所)で、作業中に体調不良となった要救助者を川側の地面へ救出する。要救助者は鉄骨からチェストアッセンダーで宙吊りの状態になっている。意識はあるが技術的な協力は不可能である。

想定時間は60分。要救助者に接触するまでに20分を超えるとタイム点が0点となる。救助には担架の使用が必須となる。

救出経路は必ずリアンカーと同じにしなければならない。リアンカーロープは事前に設定されており、隊員のアクセスには利用できるが、要救助者の救助には使用できない。また、建物下の地面には触れてはならない。鉄骨は触れることも乗ることも可能だが、自己確保に問題がないことが前提条件となる。

GRIMP JAPAN 2023 day2 M-1想定内容
Day2「M-1 フルタニ商店」の想定内容の図。

想定のポイント

はしご等の資機材を使用した進入が不可能な場所へロープアクセス技術(ロープ登はん、リアンカー通過)を活用して進入する技術が問われる。また、ロープにぶら下がった状態で救出活動を行う技術も必要となる。H鋼や斜面等の障害物を避けて救出する必要があるため、救出ルートは何度も方向を変えなければならない。

大会後の主催者コメント
「ロープを使用した橋脚や建造物の点検、補修は非常に増えており、それに伴って要救助者の発生場所もアクセス困難な場所になっていくことが予想されます。人が行く可能性のある場所は、すべて救助現場になりうる可能性があるということを踏まえ、“消防官に到達できない場所はない”という思いを持って活動にあたって欲しいと思いました」

GRIMP JAPAN 2023 day2 M-1
M-1想定の全体写真。建物下の奥に要救助者がいるため、縦の移動と横の移動が必要になる。(写真/伊藤久巳)
GRIMP JAPAN 2023 day2 M-1
要救助者に接触後、担架に収容して横移動の準備をする「JAPAN WEST 9PM」のメンバー。(写真/伊藤久巳)
GRIMP JAPAN 2023 day2 M-1
「JAPAN WEST 9PM」のアテンダーと担架が横移動し、鉄骨上にいるエッジマンが担架の向きを変える準備をする。(写真/伊藤久巳)
GRIMP JAPAN 2023 day2 M-1
エッジマンの補助を受けながら担架とアテンダーの縦移動を行う「JAPAN WEST 9PM」のメンバー。(写真/伊藤久巳)

次のページ:
障害物が多くアクセスが困難な想定

Ranking ランキング