都市部を走るベテランに学ぶ機関員の心得02〈ポンプ隊の場合〉

新福 誠

さいたま市浦和消防署 消防隊 消防司令補

Interview

都市部を走るベテランに学ぶ機関員の心得02〈ポンプ隊の場合〉

【さいたま市消防局】

写真・文◎小貝哲夫
Jレスキュー2018年3月号掲載記事

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時間帯による通行量を考慮して道路を選定する

さいたま市消防局浦和消防署の管轄地域は主要道国道17号や旧中山道が南北に貫いており、そこにはいくつもの道が交差している。そのため現場までのルートは時間帯に応じて複数選択できる利点があるが、単に最短ルートを選択するのではなく、ルート上にある学校や不特定多数の人が利用する公共施設の利用時間帯から人通りの多さと渋滞を考慮して、最適なルートを選択する必要がある。ブレーキペダルを踏む回数が多ければ、結果的に現場到着までに時間を要してしまうし、距離的には多少遠回りであってもブレーキを踏む回数が少なくスムーズに運転できれば、結果的に早く現場到着できる。ルート選定はそれが最短ルートかどうかだけでなく、その時間帯における運転をイメージして行うべきだ。

背筋を伸ばして前方をしっかり目視できるポジション。ハンドルは操作しやすい高さに設定する。
危険な場所ではいつでもブレーキペダルを踏めること

運転技術では正しい姿勢、緩やかなアクセルワークなど基本的な安全運転を心がけるのはもちろん、見通しの悪い交差点、人通りや交通量が多く危険予測ができる場所では徐行し、いつでもブレーキペダルを踏めるよう細心の注意を払う。

アクセルペダルとブレーキペダルのスムーズな踏み替えが可能なポジションを決める。
サイドミラーをチェックして巻き込みを防止する

安全運転のひとつとして、私はサイドミラーを頻繁に見るよう心がけている。特に、いったん停車したときは、車両の左側を自転車やバイクがすり抜けていく可能性が高いので、左のサイドミラーを注視し巻き込みに十分に気を配る。ポンプ車は他の車両と比べて、車体サイズに対して車高が高く上部に重心があることから、バランスが悪く安定感がない。そのため、カーブの時は十分に速度を落とすように注意している。

他隊の出場も自分が出たつもりでシミュレーションする

機関員としての腕を上げるには、実際の出場経験を重ねるほかに、イメージトレーニングで経験を重ねていくことが大事だ。私は他隊が出場するときも、署のモニターで出場指令番地を見て、ポンプ車で出場する場合にどのルートを通りどの位置に部署するかなどをシミュレーションする。それが自分にとって不案内なエリアだったなら、明けの日に実際に行って確認を行っている。その後、同じルートを通る出場指令が自分の当務に入ることは実際に何度もあったし、まったく同じでなくてもシミュレーションしたのと似たような現場であれば、精神的に落ち着いて運転に集中できる。

運転において、精神的な余裕があるなしの差はとても大きい。初めての道を走るのは誰でも不安なものだが、自分自身の中でシミュレーションできている道なら心にゆとりが生まれ、安全に対する気配りも行き届く。

最も大切なのは、現場到着を急ぐあまり過剰なスピードを出さないことだ。安全を最優先に、確実に現場に到着することが最も重要で、決してリスクを負ってはならない。

曲がるときは進行方向の安全を確認しながら、両手を使い大きくハンドルを回す。危険予測ができる場所では、徐行に加え繊細なアクセルワークで通過する。
カーブでは徐行して車体バランスを保つことが大事だ。
新福 誠

新福 誠さいたま市浦和消防署 消防隊 消防司令補

機関員歴23年。一貫してポンプ車・タンク車を担当。

【さいたま市消防局】
写真・文◎小貝哲夫 Jレスキュー2018年3月号掲載記事

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