消防用重機・重機搬送車 神戸市消防局

日本の消防車両

消防用重機・重機搬送車 神戸市消防局

近年、地震災害や土砂災害といった大規模な自然災害が数多く発生しているため、全国の消防で重機の導入が進められている。
神戸市消防局では、隣接する消防本部の重機視察や重機を運用している他都市からの情報を得て、「神戸仕様」の重機と搬送車を完成させたので紹介する。

写真◎編集部(メイン写真)、花井健朗、神戸市消防局
文◎神戸市消防局
「日本の消防車2021」掲載記事

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本気で考えた!機能的な重機と搬送車

重機の仕様

今回導入した消防用重機は、一般的に「ショベルカー」や「ユンボ」と呼ばれる掘削用重機で、その中でも通称「ミニユンボ」と呼ばれる3t重機となる。災害現場の最前線で活動する隊員との連携活動を円滑に行うため、小型で機動性が高いサイズの仕様とした。

また、泥地や砂地等の悪路走行はもちろん、舗装路も路面を痛めず走れるよう鉄のクローラ(キャタピラ)にゴムパッドを付けた仕様となっている。さらに、単に土を掘るだけでなくあらゆる災害に対応できるよう、以下(1)~(5)の機能を備えている。

消防用重機と重機搬送車 神戸市消防局
搬送車は狭隘道路や住宅密集地にも進入できるよう、全長8.14mとコンパクトに制作した。
(1)全旋回グラスパー(掴み具)

人の手のような構造で重量物を掴んで移動させたり、破壊したりする。

(2)ブレーカ

長さ1m程の先端が尖った鉄の棒を油圧の力で打ち付けることにより、アスファルトやコンクリート等の構造物を破壊する。

(3)クレーン機能

最大0.7tまでの重量物を、アーム先端のフックで吊り上げる。

(4)遠隔操作

人が近寄りにくい現場や二次災害の危険性が高い現場において、無線操縦により遠隔から操作する。

(5)放水

重機のブームに装備した筒先にホースを結合して放水する。また神戸仕様では、消防用ホースをまっすぐスムーズに延ばすためのガイドを操縦席天井部に付けた。

消防用重機と重機搬送車 神戸市消防局
油圧シリンダーで動かす油圧式自動導板。
消防用重機と重機搬送車 神戸市消防局
セルフローダーはタダノ社製。車体前部を油圧ジャッキで持ち上げ重機の積み下ろしを行う。

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