消防用重機・重機搬送車 神戸市消防局

日本の消防車両

消防用重機・重機搬送車 神戸市消防局

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搬送車の仕様

搬送車は、一般的に「セルフローダー」と呼ばれる車両をベースに製作。キャブと荷台の間にある油圧ジャッキで車体前部を持ち上げ、荷台を斜めにすることで、重機を荷台から地上へ安全に積み降ろしできる仕様とした。

この重機搬送車には2点の大きな工夫を施している。1点目は、神戸市の地域特性である狭隘路や住宅密集地にも進入できるよう荷台をできるだけ短くし、コンパクトな車体にしたこと。2点目は、アタッチメント(グラスパー、ブレーカ)の置き方。荷台前方の左右に架台を設けることで縦置きにした。これにより荷台前方のスペースが空き、重機を奥へと積載できるため、荷台を短くすることができた。また、平置き(横置き)ではアタッチメント交換の際、一度クレーンでアタッチメントを地上へ降ろしてから作業を行う必要があるが、縦置きならば荷台上で直接アタッチメント交換をすることができるため、迅速に交換作業を行うことができる。

このように、さまざまな機能を備えた重機と、コンパクトで機動力のある搬送車を十分に活用できるよう、神戸市消防局では習熟訓練を行い、運用を開始した。

運用する警防課特別高度救助隊は、土砂災害といった大規模な自然災害にとどまらず、火災現場などの通常災害でも積極的に重機を運用していく。

消防用重機と重機搬送車 神戸市消防局
重機は日本キャタピラー社製の303ECRミニ油圧ショベル。
消防用重機と重機搬送車 神戸市消防局
現場運用する警防課特別高度救助隊、車両制作を行う施設課装備係、制作メーカーが災害現場をイメージして作り上げた。
アタッチメント

専用収納庫に縦置きで収納することで、アタッチメントの交換を迅速にした。

消防用重機と重機搬送車 神戸市消防局
全旋回グラスパー(掴み具)
消防用重機と重機搬送車 神戸市消防局
ブレーカ
重機搬送車
消防用重機と重機搬送車 神戸市消防局
【SPECIFICATIONS】

車名:日野
型式:2PG-GD2ABA
全長:8140mm
全幅:2390mm
全高:3210mm
乗車定員:2名
ホイルベース:4890mm
最大積載量:4350kg
車両重量:6530kg
車両総重量:10990kg
型式:A05C
総排気量:5120cc
駆動方式:4×2
最小回転半径:7.7m
セルフローダー
(ジャッキ・ウィンチ):タダノSL-50R
油圧式自動導板:本所自動車工業
艤装メーカー:帝国繊維
配備年月日:令和2年3月26日

消防用重機(後方超小旋回型ミニ油圧ショベル)
消防用重機と重機搬送車 神戸市消防局
【SPECIFICATIONS】

メーカー:日本キャタピラー

型式:303ECR

機械質量:2900kg

輸送寸法:
全長 4470mm
全幅 1550mm
全高 2500mm

作業範囲:
最大掘削深さ 2800mm
最大掘削半径 4990mm
最大掘削高さ 4590mm

ブレード:
幅×高さ 1550mm×325mm
最大上昇量 400mm
最大下降量 470mm

機動性:
走行速度(高速) 4.5km/h
走行速度(低速) 2.4km/h
登坂能力 30度

近年、地震災害や土砂災害といった大規模な自然災害が数多く発生しているため、全国の消防で重機の導入が進められている。 神戸市消防局では、隣接する消防本部の重機視察や重機を運用している他都市からの情報を得て、「神戸仕様」の重機と搬送車を完成させたので紹介する。
写真◎編集部(メイン写真)、花井健朗、神戸市消防局 文◎神戸市消防局 「日本の消防車2021」掲載記事

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