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救助人材育成ガイドラインの作成担当者に聞く意図と狙い

総務省消防庁は令和5年3月1日、「多様化する救助事象に対応する救助体制のあり方に関する高度化検討会(救助人材育成)報告書」および「救助人材育成ガイドライン」、「訓練効果を高めるための救助訓練指導マニュアル」を公表した。今回のガイドラインとマニュアルでは、救助隊の隊長を対象に、若手隊員の育成についてノンテクニカルスキルを中心に指針を示している。従来のテクニカルな部分に焦点を当てたマニュアルとは一線を画したものを公表した意図と狙いについて、総務省消防庁の国民保護・防災部参事付救助係の担当者に話を聞いた。

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ガイドライン等の作成に携わった総務省消防庁の方々
「救助人材育成ガイドライン」と「訓練効果を高めるための救助訓練指導マニュアル」の作成に携わった(写真左から)岡田大介氏、田中亮三氏、宮嶋大氏、石丸央嗣氏。
「理想的な救助隊長像」を示し、人材育成につなげる

総務省消防庁は令和4年6月23日、「多様化する救助事象に対応する救助体制のあり方に関する高度化検討会(救助人材育成)」の第1回を開催し、令和5年2月6日までに4回にわたり同検討会を開催した。今回、同検討会の報告書とともに、「救助人材育成ガイドライン」と「訓練効果を高めるための救助訓練指導マニュアル」を公表した。

このガイドラインは、消防本部の救助隊長をターゲットにしている。救助隊長として何ができれば良いのかや、どのような態度で隊員に接すればいいのかなど、救助隊長が身につけることが望ましい役割と責任、能力などについてまとめている。救助隊長や救助隊長を目指す者が、自らを振り返り、どうあるべきかを考え、自分に身についている点や足りない点を把握できる内容となっている。また、「理想的な救助隊長像」を示し、必要な要素や具体的な取り組みについて必要とされる専門的知識と技術、安全意識や平常心など心がけたい態度・認知、傾聴力や観察力など高めたいノンテクニカルスキルを一覧にまとめた。

マニュアルでは、訓練前のブリーフィングと振り返りの効果的な手法について記載しており、「訓練効果を高めるための救助訓練指導の流れ」、「隊員の自主性を高める訓練指導のポイント」、「効果的な振り返り手法」についてまとめた。

これまでの様々な検討会では、災害種別などで具体的な手技や技術に関して取り上げたマニュアルが多く公表されてきた。しかし今回は、人に焦点を当てて救助隊長がどうあるべきか、また、救助隊員への救助技術の継承をどのように行うべきかを示している。従来とは一線を画す内容のマニュアルを作成した意図と狙いを、作成を担当した総務省消防庁の国民保護・防災部参事官付救助係の方々に話を聞いた。

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ガイドラインとマニュアルの担当者から聞いた作成の意図

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