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燕・弥彦総合事務組合消防本部が50歳以上の体力維持を推進
燕・弥彦総合事務組合消防本部は、50歳以上の消防職員を対象にした体力維持プログラムを策定し、体力強化と健康維持を実践する取組みを開始した。
写真◎燕・弥彦総合事務組合消防本部提供
10年後に50歳以上の職員が50%超を見込む
同消防本部は、157人の職員で構成されている。このうち、令和5年4月の時点で50歳以上の職員が、全体の29%にあたる46人となる。また、令和14年度には、50歳以上の職員が定数(162人)に対して50%を超える見込みだという。
公務員の定年年齢は、令和5年度から段階的に引き上げられることになっており、役職定年制も導入される。また、総務省消防庁は令和4年3月に「定年引上げに伴う消防本部の課題に関する研究会」を設置している。同研究会の報告書では、課題の一つに「高齢期職員の現場業務への配置の懸念」を掲げ、現場業務での高齢期職員の活躍維持に向けた取り組みとして、「消防職員の体力維持プログラムを策定し、これを実施すること」とされている。
同消防本部は、こういった状況を踏まえ、管内の新潟県燕市、同県弥彦村と協議を行い、スポーツ施設「よしだトレーニングセンター」(愛称:ビジョンよしだ)で50歳以上の職員向けに体力強化と健康維持を実践する取組みを開始した。
管理職から現場に戻れるように
ビジョンよしだは、燕市所有のスポーツ施設で、燕市スポーツ協会とミズノグループが指定管理者として業務委託を受けて運営している。今年2月に全面改修を行い、最新のトレーニング器具などを導入した。ストレッチや有酸素運動、ウエートトレーニングなどが行えるマシンが53台あるほか、25mプール、2部屋のスタジオを有する。
今回の取り組みでは、スポーツ庁の「新体力テスト実施要項」に示されているテスト項目の「握力」、「上体起こし」、「長座体前屈」、「反復横跳び」、「立ち幅跳び」に加え、「腕立て伏せ」と「跳躍(かがみ跳躍)」の計測を行い、成績を点数化した。また、ビジョンよしだで体脂肪や筋肉量、水分量などで健康状態を把握する体組成分析測定と専門スタッフによるヒアリングを行った。体力テストと体組成分析測定、ヒアリングの結果を総合し、ビジョンよしだのスタッフが体力維持のためのトレーニングメニューを作成し、運動指導や健康指導を提供した。トレーニングメニューを作成したスタッフは「日本スポーツ協会公認アスレチックトレーナー」と「健康運動指導士」の資格を持つ。
実際にトレーニングメニューの提供を受けた同消防本部の職員は、ビジョンよしだでトレーニングに励んでいるという。同消防本部が50歳以上を対象としたのは、55歳前後で管理職に就くことにより現場から離れるケースが多いためだという。また、役職定年制を導入しており、60歳以後は管理職から非管理職となり再び現場に戻ることも考慮して、体力面や健康面でも不具合が生じやすい50歳以上を対象に設定したそうだ。
今回の取り組みを企画した同消防本部の若林純一消防長は、「高齢職員の課題は全国的にも問題となっており、さまざまな対策が検討される中、この度の取り組みはできるだけ長い間、消防職員として活躍してもらうことはもちろん、健康増進や体力向上は、家族の幸せや地域住民の安心安全につながることと期待しています」とコメントし、体力維持以外に効果が波及することも見込んでいる。