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【コラム】救急車のサイレン音は「ウーウー」だった
救急車のサイレン音は「ピーポー」だけど、昔は「ウーウー」で、消防車と同じサイレン音だったこと知ってましたか?
写真◎編集部
ここ数年は、コロナ患者の搬送と夏場の熱中症患者の爆発的な増加により、救急出動件数が増加の一途を辿っている。見かけない日はないと言っていいほど街では救急車がサイレンを鳴らしながら緊急走行している状況である。
救急車のサイレン音は? と質問すれば、誰もが「ピーポー」と答えるだろう。でも昭和47年(1972年)頃までは消防車と同じ「ウーウー」というサイレン音であったことを知る人は少なくなってきている。
昭和40年代に入ると、高度経済成長とともに交通事故や各種災害事故が増加傾向になり、救急出動件数は火災件数よりも何十倍に激増した。
このため、救急車が救急出動する際のモーターサイレン音(ウーウー音)と同じ音を発するサイレンを消防車が備えているため、火災時等の際に消防団員の参集対象と混同することや、甲高い音が都市公害の一つとして批判を受けていた。さらに救急車は、傷病者を搬送するため、ソフトな音色が望まれていた。
そこで当時の東京消防庁消防科学研究所が消防庁からの依頼を受け、海外の緊急車両のサイレン音を参考に研究を重ねて、傷病者にとってソフトな音色となる高低二音による繰り返し「ピーポー音」を発する電子サイレンを開発し採用されたことから、昭和45年(1970年)7月から昭和47年(1972年)6月までに「ピーポー音」へとすべて切り替えられた。
近年では、一般の乗用車を中心に気密性が高まり、緊急車両のサイレン音が聞き取りづらく、運転手が気づきにくいという問題がある。また、交差点進入時の歩行者の「緊急車両に道をゆずる」という意識も大切な心がけである。サイレンを鳴らして走る緊急車両の向かう先には「大切な命が危険にさらされ一刻を争っている」という思いで立ち止まって欲しい。