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【コラム】ランクル消防車「ポン太」と北海道の旅
―第1回目―

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2024年8月31日(3日目)

目が覚めた。
風呂に入れなかったからか、さっぱりしない。
おかげで気分が晴れない。
荷台を出ると空は雨。こっちも晴れない。

ポン太と北海道の旅
出発点検中のポン太号。

雨の中での廃線探索はあまり得策ではない。
そこで、以前より走ってみたかった国道236号線(天満街道)へ向かうことにした。
噂どおり、緩やかなワインディングが続く。
しかし、この34歳のポン太号にとっては厳しい道。
登りきった翠明橋公園の天馬街道という表記は達成感さえ感じるものだった。

ポン太と北海道の旅
翠明橋公園の天馬街道看板。

休憩中視界の端になにかいる。
クマか? だとしたら一大事である。
昔、武術をしていた身であるが、さすがにやりあう自信はない。そうなれば道具で戦うしかない。
いざ、「どっちが今夜の晩ご飯!」。
しかし、その正体はお食事中の鹿さんであった。
食事に忙しいのか一心不乱に草をほおばる。
カメラを向けて近づいたところで、我々人間どもにかまっている暇はないとばかりにポーズの一つも決めてくれない。
彼らはこれから来る厳冬期に向け栄養を蓄えているところなのだろう。
ハッとしたように僕に気づいた鹿さんはそそくさと斜面を降りて行った。

ポン太と北海道の旅
近づいても逃げない鹿さん。

また、一人になった。休憩もそこそこに出発。
今日、実は会う人がいる。
彼は新得に住む男性R氏。
私が北海道に来ると必ず立ち寄る三人のうちの一人。
楽しみではあるものの安全運転。速度を抑えて一路新得を目指す。
雨は次第に強くなり車窓を味わう余裕などなくなってきた。
昨日、沿岸部で潮風に晒された車体を洗っていると考えれば少しはマシに捉えることができるだろう。
大樹町の道の駅前を右折しようとしたところ、前から走ってくる黒いランクル80のドライバーが車内ですさまじい勢いで手を振ってきた。
右折後追いかけてきた彼は友人のH氏だった。

ポン太と北海道の旅
これから札幌へ向かうH氏とばったり遭遇。

この、ど平日にたまたま遭遇するとは偶然にしても面妖である。
鹿さんの食事風景を見ていなければ会うこともなかっただろう。
彼はこれから、札幌方面に用事で向かうという。
私たちは運命の糸を感じながらも些細な談笑も許さぬとばかりに雨が強くなってきた。
僕らは別れを惜しむようにお互いに走り出した。

ポン太と北海道の旅
旧広尾線大樹駅、そのまま姿で残る駅舎。

新得に近づいた頃に雨が上がった。
友人R氏もなかなかの変わり者だ。
彼の自宅の前には、彼の愛車である日産サファリの元消防車と多数の四駆が鎮座する。
今日は夕方までR氏の元消防車と消防車ツーリング。
流石に、街ゆく人々と鹿さんの視線を集める。
人目につかない所で停車し写真タイム。
彼の消防車と並べることも、この旅の楽しみでもあった。
念願がかなったおっさん二人は不敵な笑みをこぼしながら写真を撮りあう。

ポン太と北海道の旅
R氏とアベック丼を食べる。
ポン太と北海道の旅
R氏所有の二台に挟まれるポン太号。
ポン太と北海道の旅
R氏と新得ツーリング。

彼は16時から予定があるため楽しいドライブもつかの間、僕らは別れ、僕は別の友人の元へ向かった。

ポン太と北海道の旅
2024年4月で正式に廃止となった落合駅。雨降る中、虹がかかる。

途中、2024年3月に廃線となったJR根室本線の金山駅に来た。
ここでは廃線前の2023年12月の来訪時に保線員の方と仲良くさせていただいた。
思い出の駅わかってはいたものの、電気は付いていないし封鎖された駅舎がそこにあるだけだった。

ポン太と北海道の旅
人気のない金山駅。クマが出そうな雰囲気。

晴れない空と気持ちの中でひた走る。
富良野市内を国道38号線バイパスで抜ける。
桂沢湖手前に新しくできた道道135号線美唄富良野線を通って目的地の美唄についた。
そこでは、また数人の友人が待っていてくれた。お世話になるS氏の自宅はいつも誰かいる。
初めてお会いする方もいてランクル談議に花が咲く。
「面白い車持ってるから明日暇なら見に来なよ」と誘ってくださった。
面白い車と言われれば行かないわけには行かない。お酒も進み楽しい夜がすぎた。

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