ロープレスキュー競技会「GRIMP JAPAN 2023」想定レポート<br>Day2 R-1「青雲橋」

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ロープレスキュー競技会「GRIMP JAPAN 2023」想定レポート
Day2 R-1「青雲橋」

令和5年(2023年)3月17~19日の3日間、徳島県三好市でロープレスキュー技術を競う国際大会「GRIMP JAPAN 2023」が開催された。
同大会には海外から参加した5チームを含む24チームが出場し、10種類の想定で得点を競い合った。
今回は大会2日目の想定から「R-1 青雲橋」について解説する。

想定解説◎GRIMP JAPAN

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想定内容

要救助者は、橋の西側の支柱からロープを使用して点検作業をしていたときに水面(地上から約50m、水面から2m)の位置で宙吊りになり動けなくなってしまった。この要救助者を橋の東側に救出する想定。

活動区画は橋の両側(東側と西側)にあり、それぞれ幅が2mと50cmに定められている。人と資機材はいずれかのスペースにすべて収めなければならず、両スペース外での活動は禁じられており移動のみが可能である。救出経路は自由だが、活動スペースが2mの東側に救出しなければならない。スタートから担架が地面に設置するまでの時間を計測するF1(Finish1)となる。

要救助者はチェストアッセンダーで吊られている状態で、意識はあるが技術的な協力はできない。要救助者につながっているロープは使用可能。水面に資機材と人が触れてはならない。

GRIMP JAPAN 2023 day2 R-1想定内容
Day2「R-1 青雲橋」の想定内容の図。

想定のポイント

橋の上は車両が通行するため、作業スペースが狭く、引き上げるためのシステムを効率よく設定する必要がある。救出場所は宙吊りになっている支点と橋の反対側に位置するため、橋の下を通過させる必要があり、救出経路の選定が重要となる。

大会後の主催者コメント
「多くのチームが早期に要救助者に接触していましたが、橋の下を通過させる救出側への移動と引き上げに時間を要しました。引き上げのシステムを効率的(摩擦軽減等)に行ったチームは30分程度で救出を完了させていました。いかに効率的に、なおかつ戦略的に活動することが大切か改めて認識することができました」

GRIMP JAPAN 2023 day2 R-1
想定の舞台となった青雲橋の全体写真。橋の奥側から下にかけて要救助者が宙づりになっており、橋の手前側に救出しなければならない。(写真/伊藤久巳)
GRIMP JAPAN 2023 day2 R-1
要救助者(写真左)に接触し、担架に固定する準備を行う「HKRU RESCUE TEAM」。(写真/伊藤久巳)
GRIMP JAPAN 2023 day2 R-1
要救助者を担架に固定し、引き上げの準備を行う「HKRU RESCUE TEAM」。(写真/伊藤久巳)

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救出経路の選定が重要

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