Report
災害・防災分野で最新ドローンを活用! 事例発表会
2022年11月、大手ドローンメーカーのDJI JAPANにより「2022年度最新産業用ドローン事例発表会」が開催された。これは、産業用ドローンを活用した災害・防災分野、調査・測量分野の事例を紹介するというイベントである。
このうち特に災害・防災分野でのドローン活用事例を紹介する。
今回の産業用ドローン事例発表会では、豊橋市ドローン飛行隊『RED GOBLINS』の髙橋拓也氏が登壇し、豊橋市における災害・防災分野でのドローン活用事例を紹介した。RED GOBLINSは豊橋市の防災危機管理課によって平成29年に結成された部隊で、地震などの大規模災害時に市内の被害状況を情報収集することを目的としている。
ドローン飛行隊を結成したきっかけは、平成27年9月関東・東北豪雨における鬼怒川の堤防決壊である。ボランティア活動に参加した職員が、その被災状況を目の当たりにした。地上から見える被災の様子と、後から見たドローンによる上空映像では、まるで災害の印象が違ったという。
そこで、広域的な被災の状況を把握するには、上空からの状況確認が有効だという認識を持ち、ドローン導入の検討を開始したのだ。
現在のRED GOBLINSは3班31名体制であり、市役所の様々な部局に隊員が在籍している。平常時は訓練や消防本部との連携を行っているが、災害が発生した場合は、発災~72時間の初動期にはドローンを使って情報の収集を行い、3日~1週間後の応急・復旧期には情報を活用して道路啓開などに携わっている。
また、災害からの復旧期には罹災証明発行の迅速化にもあたっている。これは、ドローンの画像をもとに、企業の画像処理技術やAIなどを活用して、罹災証明書の交付を迅速化するための取り組みだ。罹災証明書の交付には画質の精度が必要であるため、低高度での調査にはドローンが有効となるのだ。
他にも、株式会社安田測量の安田晃昭氏による調査・測量分野でのドローン活用や、実際にドローンを飛ばして遠隔で画像を見るコーナーが設けられた。特に実際のドローン飛行では、ドローンから見える会場の様子がモニターに映し出され、リアルタイムに高画質な映像が共有できることが実演された。またサーモカメラへの切り替えにより、赤外線で熱原感知が可能な映像も実際に表示された。こういった最新のドローンには、これまでになかった機能が搭載されており、災害・防災の現場において益々多くの場面での活躍が期待される。