局地的豪雨災害への備え、待ったなし!<br>川崎市消防局水難救助隊が災害救助訓練を実施

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局地的豪雨災害への備え、待ったなし!
川崎市消防局水難救助隊が災害救助訓練を実施

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プールに水没した車両の中で生体の要救助者が救助を待つ!

アンダーパスでの水没車両からの救助訓練

ゲリラ豪雨により車が水没、要救助者が閉じ込められた——

そんな想定のなか、水難救助隊が潜水して車内から要救助者を救出する。1本目は陸上から車が見えており、水面移動でアプローチ、潜水して救出するというパターン。一方、2本目は車が目視できないため、隊員は壁沿いに潜水して車を検索、発見したのちに救出するというパターンだ。

要救助者は生体で、空気呼吸器を背負って車内で救出を待つ。訓練中は隊員がひとり、付きっきりで潜水し、要救助者役の安全管理にあたって万全を期した。

プール
油脂類が流出しないよう、エンジンやエアコンは撤去され、ブレーキもない訓練用の車(廃車を整備工場にて加工済み)をロープで引っぱってプールに沈める。進水後は床に穴が開いているため、速やかに水没する。運転席には要救助者が座っている。
フィンを着装してエントリー
「アンダーパスで状況は不明。車両は見えず。潜水して壁沿いを検索。車両を発見したのち、状況を確認して浮上せよ」。ボンベの残圧を確認後、フィンを着装してエントリー。
訓練では隊員3名が進水
訓練では隊員3名が進水。うち2名が潜水し、1番員が水面で指揮をとる。「水面移動であそこまで行こうか」。
壁沿いに潜水して検索し、水没車両を確認
壁沿いに潜水して検索し、水没車両を確認した。検索ロープを車両のミラーにくくりつけ、要救助者の状況も確認してから浮上。車両付近では起流装置が絶え間なく水流を生じせしめ、救助活動の障害となる。
1番員「隊長! 要救助者、運転席に男性1名」
隊長「男性1名了解」
1番員「現在、救出活動実施中」
隊長「了解。ドア、窓等、開放されているか?」
1番員「運転席のドア、開放できました!」
隊長「了解、では運転席のドアから救出開始!」
1番員「了解!」
1番員「これより運転席側から要救助者を救出する。潜水は2名。この位置からエントリー開始! 流れに注意して、時計反対回りでいったん一周する。車両にさわりながらエントリー!」
1番員が現場の指揮をとりつつ、活動隊員3名で救出の手順を確認する。もし車にドアロックがかかっている場合は、「ポンチタイプ」と呼ばれる緊急脱出用ハンマーの先端を押し当ててガラスを粉砕する。
2名が再度潜水
2名が再度潜水。1番員は水面付近で待機。
1番員「現在、救出活動、継続中!」
隊長「了解」 1番員「隊員2名で救出活動中!」
隊長「了解。潜水開始から1分」 1番員「了解!」
車外に要救助者を救出
運転席側ドアを開けてシートベルトを開放し、車外に要救助者を救出する。
1番員「救出完了!」
そのままエントリー位置まで脱出
要救助者の気道を確保しながら、そのままエントリー位置まで脱出する。
「すぐ後ろ!」「この位置!」「残り5m!」
「この位置、消防隊が来た!」「はい、救出完了!」
訓練
「なかなかできないこと、いい体験になったが、怖かったのも事実。早く救助に来てほしいという気持ちだった。ドライスーツを着用しているということもあるだろうが、車内ではシートベルトを外すと身体が浮いてしまう。もしパニック状態に陥ったら、シートベルトはちょっと外せないだろう。訓練車両では運転席側のドアが変形しており、完全には閉まらなかったこともあったからか、水圧にも関わらず、力の入れ方次第で自力で開けられそうだった」と、要救助者役の大島隊員。この訓練は合計3本実施され、要救助者役は交代で務めた。

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