局地的豪雨災害への備え、待ったなし!<br>川崎市消防局水難救助隊が災害救助訓練を実施

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局地的豪雨災害への備え、待ったなし!
川崎市消防局水難救助隊が災害救助訓練を実施

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浸水した地下室からの救助訓練

プールに隣接した階段水路施設に10tの水を張り、扉の向こう側から扉を押し開けようと試みる。

水圧差により、ラグビー経験者を含む屈強な救助隊員4名がスクラムを組んで突進しても開かない。そのまま、徐々に水位を下げていき、どのタイミングで開けられるかを検証する。

階段を上り下り
水を張っている間は各自、階段を上り下りして、流水に対する抵抗を体験する。
4名がスクラム
10tの水による圧力はすさまじく、4名がスクラムを組んでもびくともしない。
やっと開放
徐々に水位を下げていったところ、水深50〜60㎝でやっと開放できた。

河川の氾濫等 浸水した住宅からの救助訓練

水災害対応自動車に積載している定員6名の手漕ぎボートで、川沿いの民家に取り残された要救助者を救出する。活動隊員は4名で、うち2名が漕ぎ手、2名が救出担当だ。本来は隊長が先頭に乗るが、今回は救出担当の1番員が指揮をとった。

送風機と起流装置の体験も訓練目的のひとつ。強風下、手漕ぎボートでまっすぐ進むのは意外と難しかったとの感想が聞かれた。水面上に波を立たせる送風機は風量調節が可能。最大風量は、5m離れたところで風速20m。直近では風速30mにも達する。また起流装置は、水中に強弱3段階の水流を発生させる。

自在なオール捌きが要求される
オールは引くだけなく、まっすぐ水中に差し入れて、上手を押すと同時に、下手を引き込むと、スムーズに進む。ブレーキをかけたり方向転換をしたりと、自在なオール捌きが要求される。
水災害対応自動車
資機材庫の天板上に手漕ぎボートを積載した水災害対応自動車。管内に大河多摩川を抱える高津水難救助隊は河川での救助事案に多く対応する。
巧みなオール捌き
水流と強風に逆らいつつ巧みなオール捌きで要救助者が救出を待つ家屋にアプローチする。
要救助者をボート内に収容
要救助者をボート内に収容し、現場を離脱する。

水災害対応自動車の排水ポンプ取扱い訓練

川崎市消防局の水災害対応自動車は、浸水した地区の排水を目的に開発された経緯があり、その際に排水ポンプ2基を導入している。このポンプは毎分5000Lの水を吸い上げる能力があるが、台風19号の活動にあたっては、多摩川が増水したことにより、くみ上げた水を排水する場所がなく、活躍の機会に恵まれなかった。

今回の訓練では地下街が浸水した想定で、階段水路施設に12〜13tの水を投入。2台のポンプで吸い上げた。その結果、ポンプ駆動開始から1分47秒が経過した時点でポンプは水面上に露出され、空回りが始まった。したがって、概ねスペック通りの結果といえる。

この結果から、階段水路施設のみならず、河川・都市型浸水モデル用プールであっても、くみ上げた水を逃がす場所さえ確保できていれば、ポンプ2台で十分に対処できそうだという感触が得られた。

水災害対応用の排水ポンプ
水災害対応用の排水ポンプ(新菱工業製SMW-K-20MS)。メッシュ部分の全周で水を吸い上げるので、20㎝ほどまで水位が下がると空回りが始まる。
口径150mmの排水ホース
口径150mmの排水ホース。1本の長さは25mで、各ポンプにつき4本が用意されているから、すべてつなげば100m先で排水できる。またポンプ使用を1台に制限すれば、200m先での放水も可能だ。左は水中でポンプを吊り下げるためのフロート。
車両側面に設置されたポンプの操作制御盤。
車両側面に設置されたポンプの操作制御盤。
分担しながら手際よくポンプと排水ホースを設置していく。
分担しながら手際よくポンプと排水ホースを設置していく。
階段水路施設にポンプを設置した状態
90㎝〜1mほど浸水した階段水路施設にポンプを設置した状態。奥のポンプはフロートにより水中で浮いており、水底の砂などを吸ってしまう事態を回避できる。
操作盤からポンプへのケーブル
操作盤からポンプへのケーブルは40m。さらに30mの予備ケーブルが2本あり、最大で100mまで延長できる。
水災害対応自動車のPTO
水災害対応自動車のPTOを起動してポンプを駆動する。ポンプユニットのモーター回転速度は最大で毎分3400回転を発揮する(操作制御盤でメモリを100%にセットすると毎分3400回転になる)。基本的にはメモリは100%に合わせ、フル出力で使用する。
排水を開始
地下の階段水路施設から、地上の河川・都市型浸水モデル用プールへ、排水を開始! 高低差があっても盛大に排水され、小型ポンプに似合わぬパワーを見せつけられた。
台風19号の猛威が記憶に新しかった2019年11月7日。 川崎市消防局 高津消防署 水難救助隊が、各種の水災害に対応するための災害救助訓練を実施した。 神奈川県消防学校に付属の災害救助訓練場において、目玉施設である河川・都市型浸水モデル用プールをフル活用し、災害対応能力に磨きをかけた。
写真◎伊藤久巳 Jレスキュー2020年1月号掲載記事

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