Special
実用性のある訓練方法
新・三連はしご逆伸てい要領
―熊本市消防局―
設定ポイント
Q. 確保ロープは1本で良いの? バランスは崩さない?
A.
三連目を保持しているため傾かない。もちろん、三連目保持者が手を離すと傾くが、従来の逆伸ていも三連目保持者が手を離すことは想定しがたく、この考案した逆伸ていも三連目を伸ばすために手を離さないので傾くことはない。
Q. 引き綱を折り返す意味は?
A.
従来、手で保持していた引き綱を折り返して三連目に結着することで保持していることと変わらない設定となり、1人保持者が不要となる。また、従来では三連はしごを降ろすスピードに合わせて引き綱を引いていたため、連携がとても重要であり、連携が崩れたら引き綱が緩み横さん内に入り込み引っ掛かりが生じ、逆伸ていができなくなる状況に陥ってしまうことがあった。しかし、考案した逆伸ていはスピードに関係なく一連目を降ろした分だけ三連目や二連目が伸びていくため、引き綱に緩みが発生せず、引っ掛かりがなく、操作不能に陥ることがない。
引き綱処理
従来
考案した逆伸てい
連目結着
従来
考案した逆伸てい
もし、掛け金が外れた場合
ex. 上部支持物ありの場合
→引き綱を支持物に結着:ロープの伸びの分、若干落ちる。
ex. 上部支持物なしの場合
→引き綱を三連はしごに結着:すべて落ちていく。
ex. 上部支持物の有り無しを問わない
→考案した逆伸てい
確保ロープを三連はしごに結着:掛け金が外れることがない。
救助隊が実施する場合(4人勤務の場合)
どうしても、三連はしごの到着を待って設定後にR1が進入するよりも、まずR1は迅速に座席降下等で降下するほうが断然早くR1の意味を成す。また、隊長が逆伸ていの設定に入ると活動の状況把握が出来なくなり、R1の状況も見えなくなり連携が取れない。よって、隊長とR1以外の隊員2人で設定できる、今回考案した逆伸ていが有効である。
設定ポイント
Q. 確保ロープを三連はしご自体に結着する理由
A.
従来、確保ロープは別の支持物に結着したり、支持物がない場合はそのままの状態で放置していた。考案した逆伸ていは上部活動スペースの支持物の有無に関係なく三連はしご自体に結着することにより、三連はしごが伸びることを防止できて、掛け金が外れることがない。よって、従来行っていた引き綱を支持物に結着したり連目の結着をすることが不要となるため。
Q. 人員を少なくして設定する必要がある理由
A.
出張所のポンプ隊での人員(通常3人)で設定できる。
※逆伸ていは最先着隊が設定する場合が多く、従来のやり方では4人必要なためポンプ隊では人員不足となり、設定が厳しい。しかし、考案した方法では2人で設定できる。
〈3人の役割〉
隊長:情報収集、要救助者への呼びかけ、無線交信
隊員2人:逆伸ていの設定
※従来のやり方では隊長も活動に入らないと設定できないため、隊長のやるべき任務が遅れ、後着隊へ有効な情報提供が遅れることや、要救助者の状態を把握することが遅れる。
まとめ
「今回、現場向きである三連はしご逆伸ていを考案したため、情報提供させていただいた。熊本市消防局ではこの検証を職員に伝達し、救助活動において活用し、有効な現場活動につながっていると、大変好評を得ているところであり、有益な現場活動につながると確信している検証内容である」