一般車両から次世代自動車の対処法までを網羅!<br> 車両救助を極める

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一般車両から次世代自動車の対処法までを網羅!
車両救助を極める

現場で一番使うのが交通事故現場の救助技術。
一般車両の進化は著しく、安全性能の向上を反映して、交通事故件数そのものも減少傾向にある。
消防にとっては喜ばしい反面、ハイブリッドカーや水素自動車等、電気自動車の交通事故で出動要請が入ると、
正直どう対応したら良いかわからない、不安という隊員も少なくはないのではないだろうか。
今号では、シチュエーション別の救助方法を詳解するのに加え、
電気自動車のメカニズム、事故対応ポイントまで車両救助の現在を紹介する。

(写真)交通救助の研究に取り組む名古屋市消防局特別消防隊第四方面隊。

写真◎中井俊治
Jレスキュー2018年11月号掲載記事

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名古屋市消防局 特別消防隊 第四方面隊 第二係
名古屋市消防局 特別消防隊 第四方面隊 第二係
写真左から、消防士長 村田拓己、消防司令補 市川徹、隊長/消防司令 神谷尚樹、消防士長 大前直也、消防士長 安川達昭。
名古屋市消防局特別消防隊は第一~第五方面まで5隊を配置し、それぞれに異なる災害を研究するという任務が課されている。第四方面隊は、交通機関災害全般の研究に加えて、土砂災害での救助技術やウォーターカッターの火災での活用などに取り組んでいる。

下敷き要救助者の救助テクはこれ! マット型エアジャッキを極める

——名古屋市消防局 ハイパーレスキューNAGOYA——

すべての災害において大事なことは、最初に全体像を把握し、救助までの道筋を立てること。
ここでは、車両救助の研究に取り組む名古屋市消防局特別消防隊第四方面隊が、
事故車両の下敷きになった要救助者の救出方法を実演しながら、車両救助のポイントを解説する。

事故状況
要救助者が横転した車の下敷きになっている状況。
足先が車両の反対側に出ていて、足首も圧迫されている。
【現着〜状況確認】
1
1/隊員は、出動途上で事前の打ち合わせを行っているが、現着後に現場を見て事故の大まかな状況と必要となる資機材について再度確認し、隊員間で認識を共有する。
2
2/車両の持ち上げに必要なエアジャッキ類、ブロック類を現場に持っていく。
3/クレーンを活用し、約8メートルのブルースリングで車体を吊り、不安定な横転車両の安定化を図る。
地上隊員
クレーンによる車体の安定化は、常に適正なテンションがかかった状態にしなければならず、操縦者の繊細な技術と、地上隊員とのアイコンタクトを含めた意思疎通が欠かせない。
使用する主な救助資機材
使用する主な救助資器材
写真左からバックボード、あて木(バックボード右側)、ブロック類(アルミボックス内とあて木の下2種、マット型エアジャッキ一式(写真右半分)。
押さえておきたい3つの初動対応

交通事故事案で出動する場合、救助活動にとりかかる前にやっておかなければならないことがある。どんな事故であっても必ず行わなければならないのが次の3手順だ。

1. 活動隊の安全確保

交通事故での救助活動の場合、隊員が活動している横を一般車両がすり抜け、対向車線の車両も通常の速度で走行しているという極めて危険な状況の中での活動を強いられる可能性がある。そのため、まず車両を部署する段階から、活動エリアの安全確保を意識し、必要があれば「ブロック停車」を行う。具体的には、消防の活動エリアと一般車両の走行スペースの境界線となる箇所に車両を駐車し、その周辺にはカラーコーンを置き、消防の活動スペースを一般車両に知らせることだ。最初にこの安全確保を行わず、すぐに現場活動に入ってしまうと、その後は目の前の事故現場に集中してしまうので、周囲の走行車両に気づかず、接触事故を起こす危険性がある。実際、名古屋市消防局ではかなり昔のことになるが、ブロック停車を行っていなかったことによる隊員の受傷事故が起きている。安全管理は何を置いても最初に行わなければならない。

2. 情報収集&二次災害防止策

「交通事故」とひとことで言っても、その形態は千差万別。車両1台による単独事故なのか、複数台が関係する事故なのか、歩行者は巻き込まれているのかなど確認しなければならないことは沢山ある。要救助者の人数、燃料・エンジンオイル漏れの有無などは必ず確認すべき必須項目だ。これらによる突然の出火に備えてホースを一線延ばすなどの対策を講じておかなければならない。次に車両の停止措置も必要となる。車輪止め、サイドブレーキ、シフトレバー、エンジン停止等で確実に車両停止を実施する。また事故の実態を把握したならば、次にバッテリー端子をはずすなどの処理も必要だ。

3. 事故車の状態を確認する

活動隊の安全確保と二次災害防止対策を行ったら、次は事故車両と要救助者の状態を確認する。まず車両のドアはどこが開くのか、中に閉じ込められた要救助者の状態はどうか、中にいる要救助者は挟まれているのか、車両の下敷きになっているのならどこが挟まっているのか等だ。これによってレスキュー隊が行うべき救助方法が決まる。

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出動途上から準備開始

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