札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】(前編)

Special

札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】(前編)

Twitter Facebook LINE
[火点検索救助]
札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
1/別の水槽隊が要救助者検索救助のため、吸気側進入口から火点室内へと進入開始。室内はまだ濃煙が充満、視界はほとんど利かない。
札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
2/要救助者の検索を開始。COBRAによる継続した水力換気により濃煙が徐々に排煙され、進入隊の視界が晴れていく。濃煙がほぼなくなった先に要救助者を発見。
札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
3/一番員がただちに要救助者のもとへと進入を続け、救出する。
札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
4/火点注水して制圧。水力換気は火を消すことはできないので屋内進入による放水は必須。
[札消式水力換気ノズルCOBRA]
札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
COBRAの設定状況。窓枠の端に斜めに掛けるのが基本。

屋外から窓や戸等の開口部に設定することを想定し、窓枠に引っ掛けられるような長くて独特の形状をしたノズル。ノズルを設定した場合に、負圧換気が効果的となるよう、ノズル先端をある程度内部に設定できるよう、L字部分の幅をどのぐらいにするか、試作段階で何度も調整された。

また、窓枠に設定した際にノズルが落下しないためのステーが設けられている。

米国ハイドロベント社のノズルと大きく異なるのは、抑制ノズルが2孔あり、角度も調整可能なため、天井に向けて放水して、トランジショナル・アタックのように効果的に火災室を冷却することができる点。

札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
クランク状に曲がったパイプの先端左右にノズルが付く。黒いノズル側が主ノズル。
札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
主ノズルの放水角調節用ダイヤル。ノズルから手元までケーブルが伸びている。
札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
ホースの接続口。50mmホースに対応しており、シャットオフバルブが付く。
札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
ノズル近くのパイプに設けられた落下防止用ステーを窓の下辺に引っ掛けるだけで、放水開始後は主ノズルの放水の反動によりパイプ全体が壁面に押し付けられて固定される。
札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
放水後は、設定状況が安定していれば隊員が手を放すことも可能。写真のように抑制ノズルを閉じて主ノズルだけという使用もできる。
札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
抑制ノズルは全閉、1口、2口の切替ができ、なおかつ360°回転可能なため吸熱効果を狙った粒子の細かい水をどんな角度からでも天井に向けて放水できる。
札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
主ノズルと抑制ノズルからの放水イメージ。主ノズルが最大毎分340L、抑制ノズルが2口で最大毎分80Lで計420Lの放水が可能。
札消式「水力換気」の新戦術&【COBRA】
PPV陽圧換気戦術、ウォーターカッター消火戦術など、既存の火災防ぎょ戦術に捉われず、常に先進的な戦術や資機材の検証に貪欲な札幌市消防局。2020年(令和2年)12月より試行運用を開始し、すでに実戦で何度も使用してその効果に絶対の自信を持つという札幌市の新たな取り組み、水力換気システムとは何か? その全容を詳しく紹介する。
写真◎伊藤久巳(特記を除く) Jレスキュー2021年9月号掲載記事 (役職・階級・体制は取材当時のもの)