火点に直近部署して人・水・装備を集中する<br>「DATE na 消火戦術」―仙台市消防局―

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火点に直近部署して人・水・装備を集中する
「DATE na 消火戦術」―仙台市消防局―

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新指令システムが可能にした「DATE na 消火戦術」

仙台市消防局では近年、災害が多様化ならびに激甚化していることを踏まえ、2017年(平成29年)に局内において新たな消防体制のあり方を検討する委員会を設置し、消防活動体制の見直しに着手した。そのうち、ハード面として結実したのが防火衣、車両および資機材、訓練施設の更新・整備であり、ソフト面として結実したのがこの「DATE na 消火戦術」をはじめとする活動マニュアルや、各種訓練・活動体制の整備等である。

なかでも、この消火戦術に大きく寄与しているのが指令システムの更新で、従来の署所の配置による計画的な出場から、車両の位置情報を基にした到着順位での活動が可能となった。また昨今の火災件数の減少および消防吏員の世代交代によって若手職員の現場経験の不足が懸念されるなか、貨物用コンテナを改修した基礎的訓練施設を整備。施設内部でパレットを燃やすことで実火災を模した体験ができるようになった。同消防局ではこれらハード・ソフト両面からなる現場活動体制の整備を通じて、安全の担保と活動の効率化を図っている。

DATE na 消火戦術
2018年(平成30年)に供用を開始した指令管制システム。
DATE na 消火戦術
災害情報を基に出場隊を自動で編成し、出場指令を行う。
DATE na 消火戦術
指揮隊が現場活動時に携行する指揮タブレット(活動支援端末)。出場各隊の動態管理が可能となる。
DATE na 消火戦術
指揮タブレットに表示した地図画面。30mなど任意の大きさの同心円を表示させて部署位置を指示する際に役立てている。
DATE na 消火戦術
新消火戦術の検討・策定と並行して実火災体験型の訓練施設を整備した。
DATE na 消火戦術
6消防署のすべてに配置されている大型水槽車。
現場部署の原則
直近部署図

最先着小隊は、ホース2本分以内で余裕ホースも10m程度とれることから、火点から概ね30m(直径60m)以内に直近部署し、部署後1分以内に放水を開始する。その際、2本程度のホースでも屋内進入を含めて燃焼実体に直接放水できることが特徴だ。

DATE na 消火戦術
現場部署図

火点から概ね60m(直径120m)以内に部署し、中継体系を確保する。

DATE na 消火戦術
仙台市消防局が令和元年度より本格運用を開始した新消火戦術「DATE na 消火戦術」は、到着順位により編成された中隊が、「人・水・装備」という消防の三要素を火災現場にいち早く集中配備し、効率的な消火を行うというもの。その極意をうかがった。
写真・イラスト提供◎仙台市消防局 Jレスキュー2020年3月号掲載記事

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