Special
24時間対応の機動査察隊
歌舞伎町の防火査察に出動!
抜本的なメスを入れ、物を置かない認識を
夜間の歌舞伎町エリアといえば、どうしても治安が懸念されるが、隊員の安全管理はどうしているのだろうか。
「必ずふたり以上のチームで活動し、ひとりにはならないことを徹底しています。また場合によっては私服に着替えていくこともあります。とはいえ、査察対象の関係者が危ないというわけではない。問題は酔客です。対策としては、大勢で行くこと。本庁の査察課にも交替制の機動査察係があるので、そのチーム(3名)と合わせて5名で出向するほか、今後は警察と連携して同行してもらうことも視野に入れています。一方で防刃チョッキの常時着用は考えておりません。検査の主旨から着用が必須となるところに行くことは予定しないからです」(加藤隊長)
査察業務では、ピークタイムにずかずか行くと雰囲気がこわれるのでピークタイムは外す、説明や指導は営業中の店内ではなく外で行うなど、査察対象の営業活動に対するリスペクトを持ちつつ違反を指摘して法令を守ってもらうなどといったことを心がけている。
「歌舞伎町の雑居ビル火災があったからこその流れであるし、インバウンドのお客さんも非常に多い状況にあって、この機会に歌舞伎町地域の防火安全性をよりいっそう高めていきたい。避難施設の立入検査というのは火災予防上で非常に有効な手段なので、まずは階段、通路など避難路の安全を確保するということを第一に考え、さらにそこを手がかりに避難施設の適正管理や防火管理者選任の徹底など法令順守を広げていきたい」(加藤隊長)
本庁の査察課にいた関係でずっと歌舞伎町を見てきた加藤隊長によると、歌舞伎町雑居ビル火災直後と比べると、避難経路に置かれる物の量は明らかに減り、関係者への説明により早い改善がみられるようになってきた。しかし量は少なくなったとはいえ、一定期間経つと物を置いてしまうことに変わりはない。いたちごっこが続いている現状だ。
「今後はそもそも物を置かないような認識を持ってもらうような段階に進んでいきたい。せっかくこういう夜間や休日に直接関係者と接触できるシステムができたので、抜本的なところにメスを入れたい。それにより地域に貢献していきたい」(加藤隊長)
消防司令 加藤元宏かとう・もとひろ
「建物関係者に説明して、あらゆる手段を使って、納得いただいて、法令を順守していただくという流れ。交渉ごとがメインとなる仕事で、自分に合っている気がする」
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【PROFILE】
平成10年、池袋消防署にて消防士拝命。平成12年に予防課勤務となり査察に携わる。以降、査察ひと筋の消防人生となり、約20年のキャリアのうち16年は査察業務に専従である。うち、本庁の査察課勤務は士長で2年、消防司令補で7年の足かけ10年近く。平成27年に新宿消防署に異動して査察係長。平成30年4月以降に機動査察隊隊長の任に就く。