雪国消防の緊急走行テクニック「なるほど、雪氷路はそうして走るのか!」

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雪国消防の緊急走行テクニック「なるほど、雪氷路はそうして走るのか!」

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降雪や強風で視界を失う恐ろしさ

降雪時には雪による視界不良も大きな問題となる。降雪や強風を伴う吹雪、いったん積もった雪が強風で舞いあげられる地吹雪などだが、このような状況下では数メートル先の視界もなくなり道路や信号機などが確認できないうえに、相手車両からも消防車両や赤色警光灯を視認することが困難になる。さらに雪の中ではサイレンの音も吸収されやすい。地吹雪では道路上に砂丘状の大きな吹き溜まりが形成され、走行障害となる場合もある。その中には風で飛ばされた障害物が雪に埋もれていることもあり、大きな雪塊には注意が必要である。

さらに、除雪によって積み上げられた雪壁で交差点の視界が不良になったり道幅が狭まったりするので、車のすれ違いが困難にもなる。

深雪
降雪がひどいと深雪となり一般車両では通行困難となる。
視界不良
数メートル先の視界がなくなり、通行車両の姿が確認できない。
横手市消防本部の道路事情
除雪体制が確立された横手市

秋田県の内陸南部に位置する横手市は豪雪地帯であるため除雪体制が確立されており、実は夜間降雪時には朝5時頃までにほぼすべての道路の除雪が完了している。除雪されていない道があったとしても降雪量に応じて適宜除雪されるため、走行困難になることはほぼないという。ただし、道路から住宅までの引き込み路などは除雪されていない場合もあるため、救急出場時などは走行可能な道路上に車両を停車させ、災害点まで隊員が歩いていく。また、管内には夏季は通行可能だが、冬季には通行止めになる農作業用道路や峠道、林道などがあり、積み上げられた雪で狭隘となるため大型車が通行できないケースもある。機関員はこうした状況を把握しておき、車載AVMの地図上には通行止め表示を行っている。

庁舎の除雪に関しては、庁舎前に市の除雪ステーションがあり、除雪車出場時には庁舎車庫前を除雪していく。ただ、道路用の大型除雪ローダのため細かい除雪はできないので、その後に委託業者が構内の除雪を行う。その後、署員がロータリー除雪機やスノーダンプなどで細かい除雪を行う三段階で行っている。

豪雪地帯では24時間体制で除雪が行われている。
豪雪地帯では24時間体制で除雪が行われている。
冬季の出場は、車を過信しない

ここまで、雪氷路での緊急走行テクニックについて書いてきたが、雪氷路の走行においては、四輪駆動、スタッドレスタイヤ、チェーン、ABSなどを過信ぜずに十分にスピードを落とすこと、予測運転を確実に行うこと、現場到着を急がないこと、状況により一旦下車して確認することなど基本をしっかり守って運転することが重要である。最も重要なことは、四輪駆動は発進時には四輪が駆動するために走行しやすいが、制動時には二輪駆動とほぼ同等でしかないことを決して忘れないことだ。これらの基本を頭において雪氷路の安全走行をお願いしたい。

庁舎の車庫前は常時きれいに除雪されている。
庁舎の車庫前は常時きれいに除雪されている。
車庫内には敷地内の除雪に用いるロータリー除雪機、スノーダンプ、除雪スコップも。
車庫内には敷地内の除雪に用いるロータリー除雪機、スノーダンプ、除雪スコップも。
横手市消防の冬用ツール
雪用ワイパー
雪用ワイパー
通常のワイパーではバネ部分氷結やブレードゴムが硬化するために、バネ部分がカバーされた軟質ゴム製ブレードの雪用ワイパーを使用。ウォッシャー液は凍結防止のために原液で使う。
防雪カバー付モーターサイレン
防雪カバー付モーターサイレン
雪の侵入を防ぐ防雪カバーが前面に取り付けられたモーターサイレン。ただし、冬季間は内部が氷結するために基本的に鳴動は行わない。
水槽付消防ポンプ自動車の水量計
水槽付消防ポンプ自動車の水量計
凍結による破損防止のために内部に緑色クーラントを注入している。
凍結防止剤
凍結防止剤
地面に撒く粒状塩化ナトリウム系凍結防止剤と防火水槽等のマーキングに用いる緑色系クーラント。
スコップ&お湯ポット
スコップ&お湯ポット
除雪用のアルミ製角型スコップと消火栓の解氷に使うお湯ポットは車両それぞれに積載している。

安全走行のポイントはこちら→ 雪道を走るテクニック ~安全走行のポイント~

【横手市消防本部】
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写真・文◎橋本政靖 Jレスキュー2018年3月号掲載記事

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