東京の海・河川を守る<br>日本最大級の舟艇部隊と水難救助隊 ―東京消防庁―

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東京の海・河川を守る
日本最大級の舟艇部隊と水難救助隊 ―東京消防庁―

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水中エントリーを急げ!
想定
解説図

東京消防庁大森消防署は、水難救助車で出場する水難救助隊を運用する消防署。管轄区域は東京湾に接するほか、周辺に多摩川や大小の運河が通る。令和元年度水難救助隊活動技術効果確認において三つの部のうち最も優秀な成績を修めた3部水難救助隊が、この日は成果確認を行う。夏季に実施された効果確認では、各部とも要救助者複数、条件劣悪の複雑な想定に対し安全確認事項が多く、ややもすると水中へのエントリーが遅れ気味になったが、消防監・山田哲夫署長から、「少しでも早いエントリーを心がけよ。水中で活動できるのは君たちだけだ」との訓示があり、その点を踏まえての成果確認訓練が行われた。

消防司令補・細谷亮祐隊長以下計5名の水難救助隊は救助活動の指令により、ウエットスーツを着用するところから訓練開始。水難救助車に乗り込み、現着。ただちに現場へと駆けつけ、先着のポンプ隊、工事関係者から状況を聴取すると、要救助者の水没箇所がピンポイントでわかったため、環状検索のような方法はとらずに崩落した作業足場付近を隊員個々が検索する救助方法を選択。この方法を春田大隊長に進言して了解を得ると、ただちに4名の隊員にエントリーを命じ、次々と隊員がエントリー。作業足場付近にブイを浮かばせて3名が潜行する。現着後、非常に早いエントリーだ。

水中で安全管理を行う消防士長・尾﨑隊員からの「泡数3つを確認」「泡に異常なし(=潜行隊員に異常なし)」と細谷隊長へと次々に報告が入るなか、細谷隊長は水中通話装置で検索中の隊員から状況報告を受ける。

そして水中通話装置で「要救助者発見!」の報が入ると同時に、ブイが複数回連続で沈む。一人目の要救助者発見の合図だ。ただちに、要救助者の身体を作業足場から解放して浮上する。水上ではフローティング担架が用意され、隊員が水中から引き揚げた要救助者をただちにフローティング担架へ。この担架を陸上へと引き揚げる間に二人目の要救助者を発見、救助。二人目は潜水資器材を着装した意識のあるダイバーのため、細谷隊長は隊員に徒手での引き揚げを命じ、活動を終了した。

訓練を開始
1/消防署に出場指令が入り、出場準備に取り掛かるところから訓練を開始。水難救助隊と、水難連携指定の化学小隊が走る。
車両
2/現着。水難救助隊はウエットスーツを着装してから車両に乗り込むので、現着時はBCを装着するだけの状態だ。
細谷隊長
3/まずは細谷隊長が関係者から、水中に転落した要救助者が2名であること、転落状況を聴取する。
プールを想定した現場へと到着
4/水難救助車で呼吸器を背負い、資器材の準備を終えた隊員たちが、細谷隊長の後を追うようにプールを想定した現場へと到着。細谷隊長から現場の状況と活動方針を聞く。要救助者は2名だ。
水中へとエントリー
5/進入命令により隊員たちは次々と水中へとエントリーしていく。
ブイを設定
6/入水した4名の隊員は崩壊した作業足場が沈んでいる直近にブイを設定。ここからまず2名の隊員が水中検索を開始する。
潜水中の隊員の状況確認を行う。
7/細谷隊長は水中通話装置を使い、潜水中の隊員の状況確認を行う。
安全確認で水中検索を実施
8/水に入った隊員4名のうち3名が潜水し、1名は安全確認で水中検索を実施。「気泡1、2、3、泡数3つ〜」「ブイ移動」と水面で安全管理を行う。
尾﨑隊員が潜行隊員から発せられる気泡を逐一声に出して確認し、潜水中の時間管理、安全確認を地上にいる隊員と情報共有している。
「要救助者1名、発見!」
9/「要救助者1名、発見!」ブイを引く合図を確認した尾﨑隊員が細谷隊長に報告。すかさず活動支援を行う大森化学小隊(水難連携指定隊)がフローティング担架を水面に降ろす準備に入る。
潜水中の隊員が要救助者1名を抱えて浮上
10/潜水中の隊員が要救助者1名を抱えて浮上。尾﨑隊員とともにフローティング担架を構えるプールサイドに見立てたゴムボートの方へ搬送する。
要救助者を一度フローティング担架へと収容し、そのまま陸上へと引き揚げる
11/要救助者を一度フローティング担架へと収容し、そのまま陸上へと引き揚げる。
隊員4名でボートへ引き揚げ活動完了
12/一人目の要救助者を陸上へ引き揚げる最中に二人目の要救助者も発見し、水面へ引き揚げられた。二人目は潜水資器材を着装した意識のあるダイバーのため担架を使用せず、そのまま隊員4名でボートへ引き揚げ活動完了。活動時間は約20分。
訓練終了後の訓示
13/大森消防署・山田署長による訓練終了後の訓示。前列は水難救助隊、後列は水難連携活動した化学小隊。

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