救助工作車Ⅱ型 三条市消防本部
三条市消防本部 三条市消防署 [新潟県]
写真・文◎小貝哲夫
「Jレスキュー」2017年9月号 Vol.89掲載記事
屈曲式クレーンで広がる救助の可能性
現場中心の車両作り
三条市消防本部は平成29年1月1日、三条市消防署に救助工作車Ⅱ型を更新配備した。旧車両は平成10年に配備され、使用期間20年を目途として平成30年に更新される予定だった。しかし、シャッターの腐食など、様々な不具合を抱えながら運用されていた。この情報は車両を管理する三条市消防本部管理営繕係から三条市役所に伝わり、更新が予定より早まった。
三条消防では更新車両の仕様書作成は管理営繕係が担当しているが、救助工作車に関してだけは「現場の声を反映し思うような車両に仕上げる」という上司の理解もあり、現場中心に作成するのが恒例になっている。今回の更新にあたっては両番の救助隊長を中心とし全隊員が一丸となって仕様書作りに取り組み、まずは各々が休日を利用して他の消防本部にアポイントを取りつけ、最新の救助工作車を視察した。そして集まった情報を基に会議を重ね、自分たちのニーズに合った車両の大まかな全体像が見えてきた。
後部座席の活動スペース確保
旧車両の一番の問題点は、後部座席の狭さだった。救助環境は先代の車両の配備以来大きく変わり、増え続ける個人装備を収納する場所がないためキャブ内に詰め込んでいたのだ。現場に着くまでに足が痺れてしまうこともあったという。
目指したのは、キャブ内で隊員が個人装備を完全に着装できるスペースを確保すること。水難事故で出動する場合はウエットスーツやドライスーツを、CBRNE(NBC)災害の場合は各種防護服を着装できる。それを実現するために選んだのが、帝国繊維のシングルワイドハイルーフキャブをベースとした【HX型】だった。積載庫を延長して後席を設けているため、後部の室内高は1900㎜。立ち上がっても上方の空間が広く、居住空間は大幅に向上した。さらに通常は4人掛けの後部座席を3人掛けにしたことで、それぞれのシートの間にもゆとりが生まれた。
センターコンソールには十分なユーティリティスペースを作ることができる。座席上部の棚には、有毒ガス測定器などの繊細な資機材を収納し、可能な限り広くてクリーンなキャブスペースを保つようルールを決め、徹底した。
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救助工作車Ⅱ型にパルフィンガー初搭載