特殊災害対策車[偵察車] CS3 東京消防庁

日本の消防車両

特殊災害対策車[偵察車] CS3 東京消防庁

東京消防庁 第三消防方面本部消防救助機動部隊 [東京都]

写真◎伊藤久巳、木下慎次
文◎木下慎次
「日本の消防車2014」掲載記事

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コンパクトがウリ

航空機輸送タイプに 対NBC機構を見事集約
東京消防庁の第三の特災車としてデビューした特殊災害対策車(偵察車)。

東京消防庁が新たに製作した第三の特殊災害対策車が「偵察車」だ。同車はNBC災害の現場における偵察活動を主眼に形作られており、他の特殊災害対策車に比べて何よりも車体がコンパクトなのが最大の特徴といえる。小回りが利くのはもちろん、航空自衛隊のC130型輸送機に積載できるように設計しており、同じコンセプトの救助車Ⅳ型と同等の車体サイズと航空機搭載可能な仕様を採用しているのだ。

この車体サイズながら空気浄化装置は運転室用と操作室用の計2基が搭載されており、有毒ガスや生物剤、放射性粉塵などをシャットアウトすることができる。また、同車は車内の安全を確保した上で現場に接近し、隊員が車外に出ることなく偵察活動を行うことができることを目指しており、外部空気を車内の赤外線分析装置等に取り込むことができる機構や、超音波式風向風速計を車上に装備している。車内にいながら環境状況を正確に把握することができるのだ。

しかし、車両が進入できない建物内などの場合は、車載のカメラなどだけでは対応することができない。そこで登場するのが検知型遠隔探査装置(検知型ロボット)だ。これは高度救助隊および特別高度救助隊が地域の実情に応じて装備する高度救助用器具の1つとして位置づけられているもので、隊員が安全な区域から遠隔で操作することにより、現場周辺の検索や化学剤等の検知を行うことができる。車両には側方展開式のロボット昇降装置も装備されており、隊員が車外に出なくても、車内からの操作でロボットを発進させ、遠隔操作により検知・検索活動を行うことができる。

この車両は東日本大震災における同庁の活動を知った台湾の中国信託慈善基金会から寄付された1億円を活用して製作されたもので、運用する第三本部ハイパーレスキューでは、分析型のCS1、除染車のCS2に続く第三の特災車と位置づけている。

消防車
航空機搭載をふまえ、アプローチアングルやデパーチャアングルも配慮されている。
カメラ
車両4方向に対して監視カメラを備える。
検知器
車体外部にセットした各種検知器により現場環境を車内で確認することができる。
左側面
側面
操作室(分析室)への出入り口やロボット昇降装置を備えた左側面。
ロボット
側方展開式のロボット昇降装置。スロープを展開し、箱型のロボット確保部を解除してロボットを発進させる。
検知器
空気浄化装置を2基搭載。左側に搭載されているのが操作室用。
右側面
側面
車外からアクセスできる積載庫を備えた右側面。
車上
検知器
風向風速計は車内からの遠隔操作により設定することができる。
運転室
運転席
運転室も独立した空気浄化装置により陽圧が可能。
車内
ドア部分。車体側に追加のパッキンなどが付けられ、気密化が図られている。
サイレンアンプ
サイレンアンプなどはコンソールパネルにすっきりと収められている。
操作室(分析室)
車内
操作室(分析室)には2名がけシートが2つ用意されている。
車内
分析装置などは常時積載されておらず、モニターラック部分も監視カメラ用モニターや空気浄化装置の操作パネルが備わる程度。
積載庫
車内
向かって左がロボット昇降装置で、右が収納棚。中央通路部分に救出に向かう活動隊員が乗り込む。
ステップ
後部ドアからの乗降を容易にする引き出し式ステップを装備。
消防車
【SPECIFICATIONS】

全長:約6300mm
全幅:約2200mm
全高:約2600mm
重量:約6750kg
最小回転半径:—–

東京消防庁 第三消防方面本部消防救助機動部隊 [東京都]
写真◎伊藤久巳、木下慎次 文◎木下慎次 「日本の消防車2014」掲載記事

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